
ソニーグループとホンダの合弁会社は25日、販売に向けて準備を進めてきた電気自動車(EV)の開発と発売を中止すると発表した。ホンダのEV戦略の転換に伴うもので、今後の合弁事業の方向性についても協議を進め、早いタイミングで公表するという。
ソニーGとホンダが折半出資するソニー・ホンダモビリティは発表資料で、合弁が手掛ける初のEV「アフィーラ1」と第2弾モデルについて開発と発売を中止すると明らかにした。EVを取り巻く市場環境の変化を受けてホンダが公表したEV戦略の見直しに伴い、ホンダから提供されると想定していた技術や資産の活用など、合弁の事業展開に関わる前提条件に大きな変化があったためとしている。
ソニーGの業績については、合弁の税引後当期純利益のうち、同社の持ち分である50%相当額をその他分野の営業利益として計上しており、2モデルの発売中止により今期(2026年3月期)と来期の連結業績や財務に一定の影響を与え得るとして、それについて調査中だと明かした。ホンダは業績予想の修正額に与える影響は軽微とした。
ホンダは三部敏宏社長のリーダーシップのもと、EVシフトを強力に進め、ソニーGとの合弁での共同開発もその一環だった。21年には、40年に販売する新車をすべてEVか燃料電池車(FCV)にすると表明するなど、国内自動車メーカーの中でもハードルが高い目標を掲げていた。
しかし、米トランプ政権の発足などで環境政策の方向性が変化したこともあり、EV市場の成長は鈍化。ホンダは12日に北米で生産予定だったEV3車種の開発中止など電動化戦略を大幅に見直すと発表した。
今期の純損益予想は従来計画の3000億円黒字から4200億円から6900億円の赤字に下方修正。ホンダによると、純損失となるのは連結で決算開示を始めた1977年以来初だ。今期と来期以降の損失が最大で計2兆5000億円にのぼる可能性も示し、四輪事業の中長期戦略再構築の詳細について5月に発表を予定している。
ソニー・ホンダモビリティはホンダの車両開発・生産技術とソニーGのイメージセンサーやエンターテインメントなどの技術を融合させたEVを誕生させることを目的に22年9月に設立。資本金は750億円。年内に第1弾の販売を予定し、価格は8万9900ドル(約1430万円)からとしていた。
東洋証券の安田秀樹アナリストはEV事業の方針転換についてのホンダの発表を受け、アフィーラの今後にも懸念があったとし、「やっぱりか、という印象だ」とコメント。ソニー・ホンダモビリティは事業体として継続は難しく、清算に向かうのではないかとの見方を示した。
一方、ソニーGにとっては車事業は顧客単価を大きく上げるビジネスで大きな成長ドライバーになり得るとし、ホンダ以外のパートナーも含めて「続けていく道を探るべきだ」と述べた。