- 円は一時1ドル=160円41銭まで下落、ドル指数は4日続伸
- ナスダック100は調整局面入り、S&P500は週間で22年以来の長期下落

Rita Nazareth
27日の米金融市場で、円が対ドルで160円台に下落した。イランでの戦争激化への不安から主要株価指数は続落。戦争が長期化すれば原油価格が高止まりし、インフレ加速と経済成長減速を招くとの懸念が強まっている。
北海ブレント原油は続伸し、1バレル=112ドルを上回って終了。ナスダック100指数は直近の最高値からの下落率が10%を超え、調整局面入りした。
外為
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1219.17 | 2.97 | 0.24% |
| ドル/円 | ¥160.26 | ¥0.45 | 0.28% |
| ユーロ/ドル | $1.1513 | -$0.0014 | -0.12% |
| 米東部時間 | 16時57分 |
円は一時、ニューヨーク前日終値比で約0.4%安の160円41銭に下落した。原油価格の上昇を受けたインフレ進行への懸念などが背景にある。
160円台は2024年7月11日以来。政府・日本銀行は円が160円前後だった24年7月中旬に円買い・ドル売り介入を行っており、当局による介入リスクも高まった。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)の為替ストラテジスト、アレックス・コーエン氏は「ドル・円が160円を突破したことで注目が集まっているのは確かだ。もちろん、この水準自体に特別意味があるわけではないが、口先介入が強まる可能性には注意が必要だ」と指摘した。
同氏はその上で、「背景にはドルの動きがあるため、円固有の要因による場合と比べると、日本当局は外貨準備を使った介入に、より慎重になるかもしれない」と述べた。
TDセキュリティーズの為替戦略責任者、ジャヤティ・バラドワジ氏は「当局による口先介入はこの後増えると考えるが、実際に介入に踏み切るには円安の動きが持続的かつ、より投機的な性格を帯びる必要がある」と指摘。
「円の下落は、同様に原油価格のショックにさらされている他通貨と比べて小幅にとどまっている」と述べた。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は4日続伸した。
株式
米国株は続落した。S&P500種株価指数は週間ベースでは5週連続の下げと、2022年以来の長期下落局面となった。
ナスダック100指数は昨年10月に付けた終値ベースの過去最高値から10%下落し、調整局面入りした。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6368.85 | -108.31 | -1.67% |
| ダウ工業株30種平均 | 45166.64 | -793.47 | -1.73% |
| ナスダック総合指数 | 20948.36 | -459.72 | -2.15% |
米国とイスラエルは、イラン国内の複数の核関連施設と製鉄所を空爆した。イランもペルシャ湾岸地域全体への攻撃を継続し、トランプ米大統領の要求を受け入れない姿勢を示した。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの市場戦略グローバル責任者、エリアス・ハダッド氏は「リスク回避の動きが引き続き市場を支配している」と指摘。
「米軍がホルムズ海峡を軍事的に完全に掌握しない限り、この戦争をエスカレートさせるかどうかの主導権をイランが実質的に握っていることになる。リスクバランスは事態の深刻化を示唆している」と述べた。

中東での戦争に伴い、ガソリン価格が上昇する中、 米ミシガン大学が発表した3月の消費者マインド指数(確報値)は、3カ月ぶりの低水準となった。1年先のインフレ見通しは急上昇した。
ネーションワイドのマーク・ハケット氏は「紛争の明確な解決やエネルギー市場の安定化がない限り、持続的な相場上昇は見込みにくい」と述べた。
米国債
米国債市場では短・中期債が上昇(利回り低下)し、長期債が下落した。現在のエネルギー危機が連邦準備制度理事会(FRB)による利上げにつながるとの見方に懐疑的な投資家が、今年最も高くなった利回り水準に魅力を感じて買いを入れた。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.96% | 3.0 | 0.61% |
| 米10年債利回り | 4.42% | 1.2 | 0.27% |
| 米2年債利回り | 3.91% | -7.8 | -1.96% |
| 米東部時間 | 16時57分 |
米国債利回りは原油相場の上昇に連れて、この日の最も高い水準を付けていた。10年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.48%と、昨年7月以来の高水準を付けたが、その後に上げを縮小。
金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは8bpほど低下し、約3.90%を付けた。欧州時間帯には4.03%近くと昨年6月以来の高水準に達していた。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利担当責任者、イアン・リンジェン氏は「米国債イールドカーブの短期ゾーンは、インフレリスクであるエネルギー価格に追随していたが、今はそこから離れ、経済成長やリスク資産の下振れに注目するようになっている」と述べた。
原油
原油相場は続伸。トレーダーはイラン戦争が長期化し、エネルギー市場の混乱が一段と強まる可能性に身構えている。
ロンドンICEの北海ブレント5月限は前日比4.56ドル(4.2%)高の1バレル=112.57ドルで終了。ニューヨーク商業取引所のWTI先物5月限は5.16ドル(5.5%)高の99.64ドルで引けた。WTIは一時100ドルに乗せる場面もあった。

ブレント原油は3月として過去最大の月間上昇率となる見通しだ。イランがホルムズ海峡のほぼ全面的な封鎖を強行するなか、世界経済にとって不可欠なエネルギーの流れは大きく制限されている。
原油市場では相次ぐニュースに振り回されたトレーダーが様子見姿勢を強めており、流動性は低下し、価格変動が増幅している。週末にかけて情勢が一段と緊迫化する可能性も意識され、取引終了直前には買いが加速した。
バノックバーン・キャピタル・マーケッツのコモディティー部門マネジングディレクター、ダレル・フレッチャー氏は「緊張緩和の明確な兆しが見えないなか、ショートポジションを持ち越す投資家はいない」と指摘。そのうえで、仮に戦争が早期に終結しても、広範に及んでいる物理的・地政学的影響を元に戻すのは容易ではないとの見方を示した。
金
金相場は反発。スポット価格は一時約4%上昇し、4550ドルを上回った。最近の相場下落を受けた押し目買いが広がり、週間ベースではイラン戦争の開始以降で初の上昇となる。
金はここ数週間、下落基調にあった。中東の紛争を受けて原油価格が急騰し、インフレ抑制のためFRBが利上げに踏み切るとの見方が強まっていたためだ。これは利子を生まない金にとって逆風となる。
この日の金相場は上昇したものの、イランでの停戦実現を巡る不透明感が強まるなか、下押し圧力はなお残っている。

金市場では、トルコ中央銀行がイランで戦争が始まった後の2週間で約60トンに上る金を売却・スワップしたことも圧迫材料となった。トルコの金準備高は3月13日までの週に6トン、20日までの週にさらに52.4トン減少。これは80億ドル余りに相当する。
ここ数年の金価格上昇は、各国・地域中銀による旺盛な購入にも支えられてきた。他の中銀がトルコ中銀に追随すれば、全体の購入ペースは鈍化することになる
TDセキュリティーズのアナリストは27日のリポートで「(戦争は)湾岸諸国の経済に深刻な打撃を与えているだけでなく、東アジアの経常黒字も大きく縮小させ、当面は公的部門の金需要に亀裂が生じている」と記した。
ニューヨーク時間午後1時50分時点で、金スポット価格は前日比119.96ドル(2.7%)高の1オンス=4496.07ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は同115.30ドル(2.6%)高の4524.30ドルで終了した。
原題:Yen Weakens to 160 Against Dollar for First Time Since 2024 (1)(抜粋)
Dollar Advances; Yen Weakens Past Key Level of 160: Inside G-10
Stocks Fall, Oil Rises on Fears War Is Escalating: Markets Wrap
US Bonds Pare Drop as Yields at Year’s Highs Lure Investors (2)
Crude Oil Drives Higher as Traders Brace for Longer Mideast War
Gold Heads for First Weekly Gain Since Middle East War Began