- 「自力で石油確保せよ」「米国は助けに入らない」とSNSに投稿
- イラン大統領は戦争終結の用意あると表明、再侵略防止など求める

Sherif Tarek、Courtney Subramanian、Dana Khraiche
明確な出口戦略を欠いたままイラン戦争が2カ月目に入る中、トランプ米大統領の公の発言は、周囲に私的に伝えてきた不満の高まりを反映している。
事情に詳しい関係者によると、トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国やその他の同盟国に対して怒りを示している。戦争が長引く中、一部のパートナーが決定的な戦争終結に向けて十分な支援をしていないとみているという。
トランプ氏はこうした不満の一部を公の場でも示している。3月31日のSNSへの投稿で、ホルムズ海峡の実質的な閉鎖によりエネルギー供給を確保できない国々に対し、「自ら取りに行け!」と述べた。
さらに「自国のために戦う方法を学び始めなければならない。あなたたちがわれわれを助けなかったのと同様に、米国はもはや助けに入らない」とし、原油・ガス価格の急騰や世界経済への深刻な懸念を招いている今回の戦争から、米国が距離を置こうとしている姿勢を示した。「自分たちで石油を確保せよ」とも付け加えた。
トランプ氏は停戦に向けた姿勢を一段と強める一方で、イランとの外交的な協議の進展を主張したり、攻撃拡大を示唆したりと発言が揺れている。
非公開協議を理由に匿名で語った別の関係者によると、トランプ氏は現状が持続不可能であることを認識しているという。
最近では、大統領側が、海上輸送される原油の約2割が通過するホルムズ海峡の再開が、戦争終結の必須条件ではない可能性を示唆している。
こうした結果になれば、戦争による継続的な混乱の収束を望む投資家心理を和らげる可能性がある。
トランプ氏は3月31日、イランがもたらす軍事的脅威を米国が大幅に低減させたとし、それがホルムズ海峡封鎖の解消につながる可能性があるとの見方を示した。
ニューヨーク・ポスト紙に対し「自動的に開放すると思う。ただ私としてはその国(イラン)を壊滅させた。彼らにはもはや力が残っていない。海峡を利用している国々が自ら行って開放すればいい」と語った。
米国とイランの双方が戦争の出口を探っているとの期待から、株価は上昇し、原油は下落。S&P500種株価指数は2.9%上昇。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は一時3.2%下落し、1バレル=100ドルを割り込んだ。
イランのペゼシュキアン大統領は30日に行われた欧州連合(EU)のコスタ大統領との電話会談で、「戦争終結に必要な意思はある」と述べた。イラン国営通信(IRNA)が伝えた。ただ、「侵略の再発防止に不可欠な保証」など、一定の条件が満たされるよう求めているという。これらの発言がイラン側の立場の変化を意味するのかどうかは、現時点では明らかになっていない。
イランはイスラエルやペルシャ湾周辺国への攻撃を続けており、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアも標的となっている。ドバイ沖ではクウェートの大型タンカーが攻撃を受けた。1カ月余りに及ぶ中東の軍事衝突で、これまでで最も重大な船舶攻撃の一つだ。

米国とイスラエルもイランへの攻撃を継続しており、紛争終結に向けた外交努力に早期打開の兆しは乏しい。
ヘグセス米国防長官は、戦争終結に向けたイランとの外交協議は「勢いを増している」としたうえで、合意を迫るため軍事的圧力を維持する考えを示した。
中国とパキスタンは和平交渉の開始に向け、敵対行為の即時停止を含む5項目を当事国に求めることで一致した。
空爆が確認された地点
2月28日以降の攻撃(直近の攻撃は丸囲み)
出典:戦争研究所(ISW)とアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)によるCritical Threats Project(現地時間23日午後時点)、ブルームバーグ報道
トランプ氏はSNSへの投稿で、英国やフランスを名指しで批判し、今回の紛争で歴史的な同盟国から十分な支援が得られていないことへの不満を示した。
一方、NATOの欧州加盟国は、米国とイスラエルが開始した対イラン戦争に関与しない姿勢を強めている。事情に詳しい関係者によると、スペインは3月30日に米戦闘機に対して領空を閉鎖。イタリアは中東に向かう米軍機に対し、シチリア島の基地への着陸を拒否した。既に緊張状態にある米欧関係の亀裂が一段と深まる恐れがある。
こうしたなか、米国のガソリン価格は平均で1ガロン=4ドルを上回り、2022年8月以来の高値を付けた。ガソリン小売価格の上昇は、11月の中間選挙を控えたトランプ大統領にとって政治的リスクとなる。
原油価格はこの日は下げに転じたが、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、さらに上昇すると予想する声は多い。
エネルギー市場調査会社FGEネクサントECは、封鎖が今後6-8週間続けば、原油価格はバレル当たり150ドルあるいは200ドルまで急騰する可能性があるとみている。
原題:Trump’s Frustration Over Iran Grows, Signaling Exit (Correct)、Trump Calls on Allies to Seize Hormuz as Frustration Mounts (2)(抜粋)
— 取材協力 Omar Tamo, Golnar Motevalli, Dan Williams, Kateryna Kadabashy, Eltaf Najafizada, Matthew Griffin