• イラン戦争の行方に関するトランプ大統領の発言が意識される展開
  • 悪材料や不透明なニュースが出れば、相場は再び下落も-FBB
米国株は続伸
米国株は続伸Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

Andre Janse Van Vuuren、Rose Henderson、Ira Iosebashvili

1日の米国株は続伸。中東戦争の終結が近いとの期待が高まった。原油は値下がりし、円は対ドルで下落した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6575.3246.800.72%
ダウ工業株30種平均46565.74224.230.48%
ナスダック総合指数21840.95250.321.16%

  市場ではイラン戦争の行方に関するトランプ米大統領の発言が意識された。トランプ氏は1日、イランが停戦を求めてきたとして上で、ホルムズ海峡が再開されない限り停戦には応じない考えを示した。一方でイラン外務省は、同国が停戦を求めてきたとするトランプ氏の主張について、「虚偽であり、根拠がない」と国営テレビを通じて否定した。

  トランプ氏は米東部時間1日午後9時(日本時間2日午前10時)の演説で、イランでの軍事的成果を国民にアピールし、軍事作戦が2-3週間以内に終了する可能性を強調する見通しだ。同氏は前日、その期間で戦争が終結するとの見通しを示していた。

  FBBキャピタル・パートナーズの調査責任者、マイケル・ベイリー氏は「ここ2日間の急反発は、中東情勢の緊張緩和に賭けるスマートマネーの動きか、あるいは上昇を逃すまいとの焦りからFOMO(乗り遅れ恐怖症)の状態になっているのかもしれない」と分析。「この高値圏で悪材料や不透明なニュースが出れば、相場は再び下落する可能性がある」と指摘した。

  UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブチャディ氏は、「過去24時間の株価急騰は、紛争の解決、あるいはその期待がいかに急速に相場を押し上げるかを示している」と指摘。「世界の株式相場は現在より高い水準で今年を終えると、われわれは引き続きみている」と語った。

  1日は旅行関連や鉱山、テクノロジー銘柄が買われた。サンディスクは約9%上昇。アングロゴールド・アシャンティやニューモントなどの鉱山株は、金相場が4日続伸する中で買い進まれた。一方でナイキは15%余り下落。売上高の減少見通しが嫌気された。

  ブルームバーグのマクロストラテジスト、ベン・ラム氏は「株式相場が全面高となっているのは、好材料に飢えた市場がわずかな希望に飛び付いている典型的な兆候だ。ただし、世界経済の実態を測るにはニュースのヘッドラインではなく、原油価格を見る必要がある」と分析した。

  ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースのトレーダーは、3月31日の米株急反発について、四半期末にかけて積み上がってきた弱気のポジションを解消する動きが出たことが主な要因だと指摘した。イラン戦争を巡り投資家心理が変化したわけではないとみている。

国債

  米国債はほぼ横ばい。イラン戦争が終結し米利下げ余地が拡大するとの期待が広がった一方、経済指標では雇用と財消費の底堅さが示された。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.90%-1.1-0.23%
米10年債利回り4.32%0.20.05%
米2年債利回り3.80%1.00.27%
米東部時間16時51分

  米国債利回りは、米国時間の前には原油相場の下落を受けて約1週間ぶり低水準となっていたが、その後は前日終値の水準付近に戻った。

  利回りは当初、原油価格に連動する形で下げを縮めていたが、米国時間に経済指標が発表されると上昇に転じた。2月の小売売上高と3月の民間雇用者数の伸びはいずれも市場予想を上回った。米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年、雇用市場の弱さを受けて3回利下げを実施したが、その弱さは足元でやや後退している。

  TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、ヤン・ネブルジ氏は「中東情勢を巡る前日の動きで安心感による上昇があった一方、経済指標は総じて予想より強く」、利回り上昇を支えていると分析。その上で、FOMC内でエネルギー価格について「インフレへの影響は限定的だが成長の重しとなり、労働市場を一段を軟化させる」と主張する声は、「足元ではやや弱まっている」と述べた。

為替

  外国為替市場ではドルが続落。主要10通貨のほぼ全てに対して下げた。中東戦争の終結が近いとの楽観が広がり、原油が値下がりする中でドルは売られた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1212.57-2.88-0.24%
ドル/円¥158.78¥0.060.04%
ユーロ/ドル$1.1592$0.00390.34%
米東部時間16時51分

  トランプ氏は、ホルムズ海峡が再開された場合に限りイランとの停戦を検討する考えを示した。これを受け、米国が戦争をどの程度継続する意向なのかを巡り不透明感が強まっている。

  朝方発表された経済指標では、 3月の米民間雇用者数は前月比6万2000人増加し、伸びは前月と同程度だった。またISM製造業総合景況指数では、仕入れ価格指数が7.8ポイント上昇して78.3と、2022年半ば以来の高水準を維持した。

  円は対ドルで下落し、一時159円に接近した。ニューヨーク時間の午前中は総じて堅調に推移していたが、午後に入り上げを消した。

  シティグループのストラテジストらは、「ホルムズ海峡が依然として閉鎖され、紛争が膠着(こうちゃく)状態に近づく中、極端なシナリオ(米軍の全面撤退や地上部隊の投入など)が現実味を増しつつある」と指摘した。

  シティは円に対するドルの戦術的ショートを推奨。目標を153円とし、損切り水準を162円としている。

原油

  ニューヨーク原油相場は下落。トランプ氏の演説を控え、マイナス圏での乱高下となった。市場の関心はトランプ氏がイラン戦争の終結を近く宣言するかどうかに集中している。

  トランプ氏は1日、イラン側から停戦の要請があったとソーシャルメディアに投稿した。これを受けて原油価格は大きく下げた。一方のイランは、トランプ氏の「ばかげた言動」を踏まえホルムズ海峡は再開しないと応じ、同航路の将来はイランとオマーンが決定すると表明した。

  トランプ氏は1日夜の演説で、イランでの軍事的成果を国民にアピールし、軍事作戦が2-3週間以内に終了する可能性を強調する見通しだと、ホワイトハウスの関係者が明らかにした。

  原油価格は戦争開始前に比べ約40%高い水準にある。ホルムズ海峡の事実上封鎖で、世界に供給される原油の約5分の1が停滞している。国際エネルギー機関(IEA)はこれを過去最悪の供給障害だと呼び、石油製品の中には1バレル当たり200ドルを上回る急騰となったものもある。

Oil Falls as Optimism Grows on End to Iran War3:23動画:トランプ米大統領の発言などを受けた原油市場について伝えるブルームバーグテレビジョン

  エンベラスの石油・ガスアナリスト、カール・ラリー氏は「あらゆる目と耳、買い・売りのキーに置かれた指が、今夜の演説を待っている」と述べた。「大きく下げる余地はあまりないが、それでも今は何が起きるか分からない。100ドルという価格は重要な節目であり、次の具体的な材料が出てくるまでこの水準を中心に上下するだろう」と述べた。

  ホルムズ海峡の実質封鎖はエネルギー価格を急騰させ、インフレ危機への警戒感が高まっている。米国ではガソリン店頭価格が今週、1ガロン(約3.785リットル)当たり4ドルを突破した。この水準を超えたのは2022年8月以来。トランプ氏への逆風が強まる可能性がある。

  米エネルギー情報局(EIA)がこの日発表した、先週の米原油在庫は約550万バレル増加し、23年6月以来の高水準となった。

  イランのペゼシュキアン大統領は米国民に向けた書簡で、「対立の道を進み続けることは、これまで以上に高い代償を伴い、無益だ」と述べた。

  緊張緩和への楽観が散見される中でも、戦闘は続いている。カタール沖では石油タンカーが攻撃され炎上したが、しばらくして鎮火されたと英海運グループは述べた。環境への被害は報告されていない。

  WTI先物5月限は前日比1.26ドル(1.2%)安い1バレル=100.12ドルで終了。北海ブレント先物6月限は2.7%下げて101.16ドル。

  ニューヨーク金相場は4日続伸。市場ではイラン戦争終結のタイミングを見極めようと、トランプ氏の演説待ちとなっている。

  金スポット価格は一時2.7%上昇し、1オンス=4800ドルに接近した後は、伸び悩んでいる。前日は3.5%上昇していた。イラン戦争は5週目に入り、トランプ氏は1日夜、国民に向けて演説する。

  トランプ氏は1日夜の演説で、イランでの軍事的成果を国民にアピールし、軍事作戦が2-3週間以内に終了する可能性を強調する見通しだと、ホワイトハウスの関係者が匿名で明らかにした。演説はすべての軍事目標を達成、または上回ったとして、米国の成果を位置付けるという。

  JPモルガン・プライベート・バンクの金利・外為戦略アジア責任者、ユシュアン・タン氏は「話題がインフレから成長リスクに移れば、金は自ずと安全な逃避先としての魅力を取り戻すだろう」と話す。「今のサイクルにおいて連邦準備制度理事会(FRB)に金利を引き上げる余地は限られていると、当社は確信している」と述べ、それよりも圧迫されている労働市場に焦点を絞るだろうと続けた。金利の低下は利息を生まない金投資には追い風になる。

  金相場はここ数日は回復基調にあるものの、3月全体では12%近く下げ、月間としては2008年10月以来の低調だった。中東の戦争は5週目に入り、世界市場を一変させている。

  ゴールドマン・サックス・グループをはじめ複数の銀行が、金に強気な見方を維持している。リナ・トーマス、ダーン・ストリューベン両アナリストは、3月31日付のリポートで1オンス=5400ドルの年末予想を維持した。中央銀行による購入継続と、今年2回と予想される米利下げを理由に挙げている。

  金スポット相場はニューヨーク時間午後2時33分現在、前日比89.99ドル(1.9%)高の1オンス=4758.05ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、同134.50(2.9%)高い4813.10ドルで引けた。

原題:Stocks Extend Rally, Oil Falls on War-End Optimism: Markets Wrap(抜粋)

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