- イランは海峡の通航監視のためオマーンと協定策を策定へ-IRNA
- WTI原油は一時1バレル=114ドル近くまで上昇、その後上げを縮める

Ira Iosebashvili
2日の米株式市場でS&P500種株価指数は小幅高。大幅安で取引を開始したが、その後下げを埋めて最終的にプラス圏で終了した。ホルムズ海峡や中東戦争を巡る新たな動きが意識された。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6582.69 | 7.37 | 0.11% |
| ダウ工業株30種平均 | 46504.67 | -61.07 | -0.13% |
| ナスダック総合指数 | 21879.18 | 38.23 | 0.18% |
S&P500種株価指数は朝方に1.5%余り下落する場面もあった。ナスダック100指数も0.1%高で引け、朝方の大幅安から持ち直した。
国営イラン通信(IRNA)は、同国がホルムズ海峡の通航を監視するため、オマーンと協定案の策定を進めていると報じた。カゼム・ガリババディ外務次官の発言として伝えた。同氏はさらに、スプートニクとのインタビューで、ホルムズ海峡の通航料設定を検討していると語った。
ホルムズ海峡は国際水域とされており、イランが通航管理の権限を主張すれば、西側諸国や湾岸アラブ諸国の反発を招くとみられる。
LPLファイナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンクイスト氏は「株式市場は原油価格に織り込まれるプレミアムの上昇よりも、ホルムズ海峡の再開に注目しているようだ」と指摘。「リスク選好が原油に左右されているのは明白で、株式市場の回復の持続性は脆弱(ぜいじゃく)に見える」と述べた。

1日夜のトランプ大統領の演説が中東戦争の早期終結への期待を高める内容とはならなかったことから、2日の米国株は序盤に大幅安となっていた。
パリセード・キャピタル・マネジメントのデニソン・ベル最高投資責任者(CIO)は「ニュースの流れが流動的な中、市場は前夜の大統領演説でのタカ派的なトーンや原油価格の急騰にもかかわらず中立的な姿勢を保っている」と指摘。「イランとの戦争を巡る進展ないし後退によって市場はいつでも動き得るが、現時点では投資家はトランプ氏の戦争終結見通しを受け入れている」と述べた。
この日は大手資産運用会社の株価が下落。米オルタナティブ資産運用会社ブルー・アウル・キャピタルが、解約請求の急増を受けてプライベートクレジットのファンド2本で償還を制限すると明らかにしたことが嫌気された。
S&P500種が上昇して引けたことで、戦争開始以降続いてきた週後半の下げパターンに逆行する形となった。これまで、週末の展開が世界経済への打撃を悪化させるリスクを警戒し、投資家はポジションを解消してきた。
フランクリン・テンプルトン・インベストメント・ソリューションズの副最高投資責任者、マックス・ゴックマン氏は「資産価格は新たなニュースが出るたびに振り回されているが、海峡再開に向けた受け入れ可能な合意が成立するまでは、経済成長には下押し圧力、インフレには上向きの圧力がかかる」と指摘。「株式と債券双方の投資家にとって消化しにくい状況だ」と述べた。
個別銘柄ではテスラが安い。1-3月(第1四半期)の販売台数は、過去数年で最低の部類に入り、市場予想も下回った。同社は中核事業を立て直すことができず、厳しさを増すEV市場で苦戦している。
国債
米国債は小幅高。朝方下げていたが、反転した。エネルギー価格の急騰が経済成長の足かせとなるリスクに投資家の関心が移った。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.88% | -2.1 | -0.43% |
| 米10年債利回り | 4.30% | -1.4 | -0.32% |
| 米2年債利回り | 3.80% | -0.5 | -0.12% |
| 米東部時間 | 16時56分 |
利回りは一時6-7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇していたが、下げに転じた。トランプ氏が1日夜の演説でイランに対し強硬な姿勢を示したことを受け、米国債利回りは朝方、原油相場とともに上昇していた。
米国の対イラン戦争は中東からの原油供給を混乱させ、価格は50%超上昇した。ガソリンの値上がりを通じたインフレ加速により米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを見送るとの見方が米国債の重しとなっている。
ただ原油価格が上昇するほど、そのショックが景気後退を招くとの懸念が広がり、株式市場を圧迫するとともに債券に資金が流入するようになった。
アメリベット・セキュリティーズの米金利トレーディング・戦略責任者、グレゴリー・ファラネロ氏は「これは経済成長を巡る問題になると、数週間にわたり顧客に伝えてきた」とした。その上で、「エネルギー価格が上昇を続ける、あるいは高止まりすれば、時間とともに経済が打撃を受けるという現実に米国債市場は気付き始めている」と指摘した。
為替
外国為替市場ではブルームバーグのドル指数が3日ぶりに反発。トランプ氏は、イラン戦争は終結に「非常に近い」と述べた一方で、今後2-3週間でイランに対し「極めて強力な攻撃」を行うと表明した。主要10通貨は全て、ドルに対して下落した。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1215.89 | 3.32 | 0.27% |
| ドル/円 | ¥159.57 | ¥0.75 | 0.47% |
| ユーロ/ドル | $1.1539 | -$0.0050 | -0.43% |
| 米東部時間 | 16時56分 |
朝方発表された先週の新規失業保険申請件数は前週比9000件減の20万2000件と、2年ぶり低水準付近となった。3日発表される3月の米雇用統計では、前月に大きく減少した非農業部門雇用者数の回復が示されそうだ。失業率は4.4%で横ばいと予想されている。
マネックスの為替トレーダー、アンドリュー・ハズレット氏は「2月に失われた雇用のかなりの部分が3月は回復すると見込んでいる」と予想。ドルを支える要因になるとの見方を示した。
ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏は、3月の雇用統計は「一定の手掛かりを与える」としつつ、主なシグナルは地政学とエネルギー価格だと指摘した。
「力強いデータと底堅い需要により、米連邦準備制度理事会(FRB)はより難しい政策判断を迫られることになる。エネルギー価格上昇の影響に直面しているためだ」とした上で、「ここ数週間に発表された米経済データの大半は、成長が引き続き安定していることを示唆している」と述べた。
円は対ドルで軟調。1ドル=159円前半から後半で推移した。

原油
原油相場は反発。トランプ氏が行った前日の演説で、戦争の早期終結期待が後退した。ホルムズ海峡を通過するエネルギー供給の混乱が長期化するとの懸念が続いた。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は前日比11%高で終了。北海ブレント先物は1バレル=約109ドルで引けた。
欧州のディーゼル油先物の指標は、2022年以降で初めて1バレル=200ドルを上回った。石油現物の指標であるデイテッド・ブレントは18年ぶりの高値に達した。
ホルムズ海峡再開のめどは立たず、石油市場への圧力が後退する兆しはほとんど見られない。WTIの価格は年初の2倍ほどに達している。
WTI原油のプロンプトスプレッド(期近物とその翌月物の価格差)は一時16ドルを超え、過去最大の価格差に達した。平時の価格差は数セントに過ぎないだけに、著しい供給逼迫(ひっぱく)が示唆されている。

ICAPのエネルギースペシャリスト、スコット・シェルトン氏は「市場は今回の展開を織り込んでいなかった」と指摘。「緊張緩和に向けた協議を想定していたが、実際には全く逆の展開となった」と述べた。
原油相場は日中に上げ幅を縮小する場面があった。イランがホルムズ海峡の通航を監視するため、オマーンと協定案を策定しているとの報道が材料となった。
ウェストパック銀行の商品調査責任者ロバート・レニー氏は「トランプ氏の演説は市場の基本的な現実を何も変えていない。海峡は事実上、既に1カ月にわたり閉鎖されており、供給は大きく制約された状態が続いている。少なくとも数週間、場合によってはそれ以上の混乱が続く可能性が高い」と指摘した。
ライスタッド・エナジーのチーフエコノミスト、クラウディオ・ガリンベルティ氏は「トランプ氏特有のあいまいさによって、米国の関与期間が比較的短期にとどまる可能性が示唆される一方、当面は複数の軍事的選択肢が残された」と指摘。
「緊張緩和への道筋がより明確になるまで、市場は引き続き高いボラティリティーに見舞われる公算が大きい」と述べた。
3日はイースター(復活祭)の祝日のため原油先物は取引されず、来週まで3連休となる。
WTI先物5月限は前日比11.42ドル(11.4%)高の1バレル=111.54ドルで終了。北海ブレント先物6月限は7.87ドル(7.8%)上昇して109.03ドルで引けた。
金
金スポット価格は5営業日ぶりに下落。トランプ氏が行った前日夜の演説では、中東での紛争解決に向けた明確な見通しがほとんど示されず、原油やドルが上昇したことが響いた。
オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)のストラテジスト、クリストファー・ウォン氏はトランプ氏の演説について、「基本的に停戦の発表ではなく、軍事的成功を強調する内容だった」と指摘した。
スポット相場はアジア時間では小幅に上げて一時1オンス=4800ドルを上回る場面もあったが、「米国がイランで地上作戦に踏み切るとの懸念を背景にリスク選好が抑制される可能性を踏まえると、今後上昇の勢いは鈍化するかもしれない」と述べた。
イランがホルムズ海峡の通航監視のため、オマーンと協定案を策定しているとのニュースが流れた後、金相場は一時下げを縮小する場面があった。
スポット価格はニューヨーク時間午後3時30分現在、前日比94.17ドル(2%)安の1オンス=4664.40ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、同133.40ドル(2.8%)安の4679.70ドルで引けた。
原題:Stocks Reverse Losses, Oil Prices Surge: Markets Wrap(抜粋)
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