• トランプ氏、動画と共にイラン攻撃の意向を投稿-合意するよう圧力
  • 国連安保理、3日にも海峡再開に向けた措置を支持する決議案採決へ
トランプ米大統領
トランプ米大統領Photographer: Alex Brandon/AP Photo/Bloomberg

Eltaf NajafizadaKateryna KadabashyCatherine Lucey

エネルギー海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の再開に向けた各国の取り組みは、トランプ米大統領の発言やイランへの攻撃継続によって困難さを増している。

  1日夜の国民向け演説で、今後2-3週間で一段と強硬な行動を取ると表明したトランプ氏は2日、動画とともに「イラン最大の橋は崩れ落ち、二度と使われることはない。さらに続く」とSNSに投稿

  「手遅れになる前に、イランは今こそ合意すべき時だ。さもなければ、偉大な国になり得たはずが何も残らなくなる」と警告した。

  これに対し、イランのアラグチ外相は、民間施設への攻撃は「イラン国民を降伏させることにはならない」とSNSに書き込んだ。トランプ氏の発言に先立ち、イランのファルス通信は、テヘランとカラジを結ぶ橋を含む複数の標的が空爆を受けたと報じていた。

  戦争の早期終結期待が後退し、2日の原油先物相場は大幅高。今後数カ月で米国産原油の輸出が過去最高を更新するとの見方を背景に、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は一時、前日終値比13.8%上昇し、1バレル=114ドルに接近。北海ブレント原油の水準を上回った。

  一方、指標の欧州軽油先物は2022年以来となるバレル当たり200ドルを超えた。

ホルムズ海峡

  こうした中、国連安全保障理事会は3日にも、ホルムズ海峡の再開に向けた措置を支持する決議案を採決する見通しだ。バーレーンのザヤニ外相が明らかにした。アラブ首長国連邦(UAE)は国連に対し、海峡再開に向けて、武力行使を含む一連の措置を承認するよう求めた

  フランスのマクロン大統領は、トランプ氏が軍事的手段を通じたホルムズ海峡再開への支援を求めていることについて、「非現実的」だとの認識を表明。解決策を見いだすためイランとの協議を呼びかけた。

  フィンランドのストゥブ大統領は、イランのペゼシュキアン大統領と電話会談し、ホルムズ海峡における航行の自由の回復を求めたと明らかにした。同氏は前日、トランプ氏とイラン情勢について協議している。

  ホルムズ海峡を巡り、イランが譲歩する兆しはほとんど見られない。国営イラン通信(IRNA)はカゼム・ガリババディ外務次官の発言として、イランがホルムズ海峡の通航を監視するため、オマーンと協定案を策定していると報じた。

  「当然ながら制限を意味するものではなく、船舶の安全な通航を促進し、より良いサービスを提供することを目的としている」とガリババディ氏は説明。一方、スプートニクとのインタビューでは、ホルムズ海峡の通航料設定を検討していると明らかにした。

  ホルムズ海峡は公式には国際水域であり、イランが通航の統制を強める動きに出れば、西側諸国や湾岸アラブ諸国の反発を招くのは確実だろう。

  トランプ氏は演説で、エネルギーショックは緩和に向かうと述べたが、ホルムズ海峡再開をどう実現するのか具体策は示さなかった。中東産原油に依存する同盟国に対しては、同海峡を「掌握し、大切に守らなければならない」と述べた。

  英国は2日、UAE、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本など約35カ国の外相によるオンライン会合を主催。ホルムズ海峡における航行の自由の回復に向けた対応策を協議した。

  出席した茂木敏充外相によると、会合では3月19日に日本と欧州5カ国が発表した同海峡に関する共同声明の立場を確認。今後も緊密に連携していくことで一致した。日本は国際海事機関(IMO)に海上回廊の設置を提案していると説明し、協力を呼びかけたという。

攻撃は激化の一途

  イランはペルシャ湾全域で攻撃を継続しており、協議開始や降伏に前向きな姿勢は全く見られない。イラン外務省は、パキスタンなどの仲介を通じて米国からメッセージを受け取ったとしつつも、米側の要求は「極端で非論理的だ」と批判した。

  湾岸アラブ諸国によると、イランによるミサイルやドローン攻撃が1日夜から2日にかけて確認された。在バグダッドの米大使館は、イラクの民兵組織が今後2日以内に首都中心部で攻撃を実施する可能性があり、米国民が標的となる恐れがあると警告した。

  イスラエルでは1日夜、イランから2月下旬の戦争開始以降で最大級となるミサイル攻撃を受けた。

USS Abraham Lincoln
米空母「エイブラハム・リンカーン」の飛行甲板から離陸の準備をする米軍の戦闘機Source: US Navy

  各国政府機関や米国に拠点を置く人権団体ヒューマン・ライツ・アクティビスツ・ニュース・エージェンシー(HRANA)によると、今回の戦争による死者は5000人を超えた。そのうち約4分の3がイランに集中している。またイスラエルが親イラン勢力のヒズボラと戦闘を繰り広げているレバノンでは、1300人余りが死亡した。

原題:Trump Threatens Iran’s Infrastructure as Markets Fear Longer War(抜粋)