• パキスタンが米に2週間の期限延長要請、イランにはホルムズ開放求め
  • 円は対ドルで上昇に転じ159円台半ば、米国債も上昇
ニューヨーク証券取引所(4月6日)
ニューヨーク証券取引所(4月6日)Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

Rita Nazareth

ニューヨーク時間7日の米金融市場では、中東での戦争終結に向けた外交努力への期待が高まり、株はそれまでの下げを埋めた。トランプ米大統領がイランに突きつけた交渉期限が迫る中、原油は一段安となった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6616.855.020.08%
ダウ工業株30種平均46584.46-85.42-0.18%
ナスダック総合指数22017.8521.510.10%

  ウォール街では神経質な取引が続いていたが、終盤にパキスタンのシャリフ首相によるソーシャルメディア投稿が明らかになると、S&P500種株価指数は1.2%の下げを帳消しにした。パキスタンは米国に対して2週間の交渉期限延長、イランに対して同期間のホルムズ海峡の開放を求めた。

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  トランプ氏はイランが米東部時間7日午後8時までに、米国の条件に応じない場合、イランの重要インフラに対する大規模な爆撃を実施すると改めて威嚇した。これに先立ち、米軍はイランの原油積み出し拠点であるカーグ島の軍事目標を攻撃した。

  地政学的リスクが依然として中心的なテーマだが、トレーダーは最新の経済データにも注意を払い、戦争による影響を見極めようとしている。

  ニューヨーク連銀の調査によると、米消費者の目先のインフレ期待は3月に1年ぶりの大幅上昇となった。中東での戦争がガソリンと食品の価格を押し上げると、消費者は想定している。

  ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、イランとの戦争に伴うエネルギーコストの上昇が全体のインフレ率を押し上げるとの見方を示しつつも、基調的な物価圧力の見通しはおおむね変わっていないと述べた。

  シカゴ連銀のグールズビー総裁は、原油価格の上振れに企業の人員採用が低迷していることが重なり、経済への懸念を高めていると述べた。

  個別企業のニュースでは、アップルが初めて手がける折りたたみ式スマートフォンが、通常のiPhone発表時期に合わせて投入される見通しだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。

原油

  原油相場は不安定な値動き。トランプ氏が自ら定めたイランとの交渉期限が迫る中、相反するニュースが伝わったことが背景にある。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は前日比54セント(0.5%)高の1バレル=112.95ドルで終了。一時は117ドルを突破する場面もあった。北海ブレント先物6月限は50セント(0.5%)下落して109.27ドルで引けた。

  その後、パキスタンのシャリフ首相が米国に対して2週間の交渉期限延長、イランに対して同期間のホルムズ海峡の開放を求めたと伝わると、WTIは時間外取引で一時下げに転じた。北海ブレントは急落し、バレル当たり105ドルを割り込む場面もあった。

  これに先立ち、トランプ氏は米軍によるカーグ島攻撃後に、「一つの文明全体が今夜滅び、二度と戻ることはないだろう」とSNSに投稿。大規模な爆撃を実施すると改めて威嚇し、イランに譲歩を迫った。

  トランプ氏の発言後、イランは米国との停戦協議を停止したと、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報道。一方、ニュースサイトのアクシオスは、過去24時間に米・イランの協議で進展が見られたと報じるなど、ニュースに振り回される展開となった。 

  戦略国際問題研究所(CSIS)の中東プログラム責任者、モナ・ヤクービアン氏は「ノイズが非常に多く、それらをすべて切り抜けて、どこに真のシグナルがあるのかを理解するのは本当に難しい」と述べた。

  一方、S&Pグローバル・エナジー傘下のプラッツによると、原油現物取引の世界的指標であるデイテッド・ブレント(積載日確定後のブレント原油)は一時1バレル=144.42ドルに達し、最高値を更新した。ホルムズ海峡の事実上封鎖に伴う原油輸送の停滞を背景に、現物の供給逼迫(ひっぱく)が意識されている。

米国債

  米国債相場は上昇。パキスタンによる2週間の交渉期限延長要請が材料視された。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.88%-1.1-0.23%
米10年債利回り4.30%-3.2-0.73%
米2年債利回り3.79%-5.4-1.40%
米東部時間16時49分

  パキスタンのシャリフ首相によるソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」投稿を受け、米国債先物の取引は活発になり、中・短期債が特に買われた。同首相は和平合意に向けた外交努力が着実に進展しつつあるとも述べた。

  2年債利回りは約3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。10年債利回りも反転し、約1bp下げた。

  取引終盤までは長期債を中心に利回りが上昇し、10年債利回りは最大5bp上昇する場面も見られた。トランプ氏がイランに通告した交渉期限を控えて、原油価格が急騰したことが背景にある。

  2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃して以来、原油価格は米国債利回りを左右する最大の要素となっている。利回りは3月下旬に年初来のピークを付けた後は、石油ショックが経済成長を損なうとの見方が強まり、その水準からは下落している。

  3年債入札(発行規模580億ドル)では、最高落札利回りが予想を下回り、強い需要が示された。

  利回りの上昇は原油価格の動きに主導されたが、戦争の行方を巡る不確実性が上昇幅を抑えた。

  TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、モリー・ブルックス氏は「中東で次に何が起きるか、市場は判断に苦労しているようだ」と話した。イランが交渉を打ち切ったとの報道を受け、市場では合意見通しが後退した。

  ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのジョナサン・コーン氏は「市場のトーンが軟調なのはうなずける」と話す。「政府は市場に向けて口先で対応するしかなく、明確な進展が見られない中では効力がない。そのため不確実性が高まり、リスク回避につながっている」と説明した。

外為

  外国為替市場ではドルがマイナス圏でもみ合った後、下げ幅を拡大した。パキスタンがトランプ氏に交渉期限の延長を求めたことが明らかになり、相場が動いた。円は対ドルで上昇に転じ、159円60銭付近。

  高市早苗首相はイランのペゼシュキアン、米国のトランプ両大統領との電話会談を調整していることを明らかにした。

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、アジア時間の0.2%上昇から反転し、0.3%余り下げている。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1210.63-3.84-0.32%
ドル/円¥159.63-¥0.05-0.03%
ユーロ/ドル$1.1596$0.00550.48%
米東部時間16時49分

  トランプ氏はイランが戦争終結に向けた条件に応じない場合、イランの重要インフラに対する大規模な爆撃を実施すると改めて威嚇した。これに先立ち、米軍はイランの原油積み出し拠点であるカーグ島の軍事目標を攻撃した。

  イランは米国との停戦協議を停止するとパキスタンに伝えた。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。

  金スポット価格はもみ合い。トランプ氏が設定したイラン停戦合意の期限を控え、売り買いが交錯した。

  イラン戦争が始まって以降、金価格は約12%下落。株式など他の資産クラスで生じた損失を補填するために換金売りを余儀なくされるケースも生じており、安全資産としての妙味も薄れている。

  一方で、中央銀行の間で金を売却する動きが出る中、中国は金購入を加速しており、市場の信頼感を下支えしている。3月には、トルコ中銀が自国通貨リラ防衛のため、80億ドル超の金準備を取り崩した。

  金価格の下落に伴い、押し目買いの動きも徐々に出始めた。ブルームバーグの試算によると、金に連動する上場投資信託(ETF)の金保有高は先週、戦争開始以降で初めて増加に転じた。

  スポット価格はニューヨーク時間午後2時12分現在、前日比30.92ドル高の1オンス=4680.77ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、前日比変わらずの4684.70ドルで引けた。

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原題:Dollar Extends Loss as Traders Eye Iran Deal Clock: Inside G-10(抜粋)

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