イラン戦争はトランプ大統領が設定した攻撃期限ギリギリに、一転して「2週間の戦闘停止」で合意した。NHKによると仲介役を務めていたパキスタンのシャリフ首相は、日本時間8日午前9時前、SNSに「イランとアメリカ、同盟国が、レバノンを含むあらゆる地域で、直ちに発効する即時停戦に合意したと発表できることをうれしく思う」と投稿した。攻撃期限直前にトランプ大統領は「今夜、文明が滅びる」と発言した。この発言を受けてローマ教皇レオ14世は、イラン国民に対する警告は「容認できない」と述べたほどである。教皇としても異例の発言だ。おそらく攻撃期限を目前にして両国は水面下で激しい駆け引きを展開していたのだろう。逐一報告を受けていたトランプ氏はおそらく、イランの強硬派に向けて激しい言葉を使いながら脅しまくったのだろう。これが聴いたとは思いたくないが、最後まで仲介を諦めなかったシャリフ首相にはノーベル平和賞をあげたい気分だ。
直前まで欧米メディアは悲観的な情報を流していた。たとえばBloomberg。今朝未明に「イラン、トランプ氏脅しにひるまず-実権握る強硬派は徹底抗戦の構え」と題した見通し記事を配信していた。そこには以下のような記述がある。「英王立国際問題研究所の中東・北アフリカプログラム責任者、サナム・ヴァキル氏は『現在指揮を振るい、支配しているのは体制の回復と生き残りに組織的にも個人的にも懸けている一団だ』」と指摘。「この一団を『今こそ合意を結ぶべきだ』と説得するのは困難だろう。イランが強硬な条件や要求を崩さないのもそれが理由だ」とある。この一団は言うまでもなくイスラム革命防衛隊(IRGC)のことを指している。「今夜、文明が滅びる」というトランプ氏の発言は、IRGCに向けたものだろう。そこを明示しないまま異常で異様で異例な発言をするからローマ教皇まで怒りを露わにする。トランプ氏が非常識な大統領であることの証左でもある。
ヴァキル氏は次のようにも指摘する。「イランの改革派グループは『出口を模索している』ものの、立場は比較的弱く、政権を支配する強硬派は早過ぎる譲歩を望んでいない」「ホルムズ海峡を支配することで、いまや絶大な交渉材料をイランは手にしていると強硬派が確信している」とも。米国だけではない。イランも国内事情を抱えながら停戦を模索していたのだろう。最終期限の2時間前に決まったという停戦合意。イラン戦争の終結が決まったわけではないが、とりあえずご同慶の至りといったところか。まだまだ終戦に向けて交渉は続くだろう。とりあえずの停戦に過ぎないが、この間にお互いが、お互いの愚かさを、お互いに知るにはいい機会だ。イラク戦争だけではない。ウクライナ戦争も停戦が実現しないまま続いている。このほかにも世界中で地域紛争が頻発している。今回の停戦がこうした国々に波及することを願う。