- イラン側はガリバフ国会議長が率いる見通し、米側はバンス副大統領
- 「高いレベルでの協議は双方の本気度の高まり示す」-ナスル教授

イラン政府は米国と合意した2週間の停戦で空爆が一時停止している状況を受け、2月28日に殺害された前最高指導者アリ・ハメネイ師の追悼行事を全土で実施した。
ハメネイ師の死去とその後の戦争は、同国の指導体制の再編を加速させた。もともと強大な軍事組織だったイスラム革命防衛隊(IRGC)は経済や社会の各分野で支配的地位を固めている。
IRGCおよびハメネイ師の後継者である息子モジタバ・ハメネイ師に近い政治家が要職に就いたことで、IRGCの影響力は一段と強まっている。
米国とイランの代表団は11日にパキスタンの首都イスラマバードで直接協議を行う。パキスタン当局は、イラン代表団は10日夜にイスラマバードに到着する予定だとしている。

今回の協議は、イランと米国の二国関係に新たな力学をもたらすとみられる。イランは海上輸送の要衝であるホルムズ海峡を事実上「武器」として利用し、それを材料に国際社会に圧力をかけ、米国を交渉の場に引き出した。
イラン代表団は、IRGC出身のガリバフ国会議長が率いる見通しだ。同氏は戦時下の同国指導体制で主要人物として台頭している。米側はバンス副大統領が率いる。
イランのアラグチ外相がウィトコフ米特使やトランプ大統領の娘婿クシュナー氏と間接協議を重ねてきた従来の協議とは、枠組みが異なる。
「高いレベルでの協議は、双方の本気度の高まりを示している」。ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)のバリ・ナスル教授はこう語る。そのうえでガリバフ氏について、「モジタバ師やIRGCから信頼されており、現地ではモジタバ師の直接の使者でもある」との見方を示した。
アラグチ外相も、イスラマバードでの会合に出席する見通しだ。このほか、イラン最高安全保障委員会(SNSC)の事務局長を務めるモハンマド・ゾルガドル氏も、代表団の一員として名前が取り沙汰されている。同氏はIRGC出身の強硬派として知られるが、外交面での実績や外国当局との交渉経験はほとんどないとされる。
今回の協議でイランにとって重要となるのは、トランプ氏にイスラエルとその行動を制御する能力と意思があるかどうかだろう。
イスラエルのネタニヤフ首相は外交努力の再開に反対しているとされ、イスラエルがレバノンに対して大規模な空爆を実施したことで協議を揺るがすとの見方も出ている。トランプ米大統領が今週初めに発表した停戦合意の対象に、イスラエルの対ヒズボラ軍事作戦が含まれているのかどうかも判然としない。
前出のナスル教授は「イランはトランプ氏を全く信頼していない。交渉中に2度にわたり攻撃を受けたためだ」と指摘。「また、合意に至った場合にそれが確実に履行されるよう、米国がイスラエルを制御できること、そして一定の措置を講じる意思があることを示すよう求めているとみられる」と語った。

中東・中央アジアを専門とするシンクタンク、ブアス&バザール財団で代表を務めるエスファンディヤル・バトマンゲリジ氏は「ガリバフ氏とバンス氏が会談すれば、両国が二国間関係の転換に前向きであることを示すシグナルとなる」と指摘する。
そのうえで「もっとも、両氏が意気投合し、二国関係を抜本的に変えることで一致したとしても、ガリバフ氏はイラン体制内の多くの関係者を説得する必要があり、バンス氏はトランプ氏という唯一の意思決定者を説得しなければならない」と述べた。
ナスル教授は、現時点で協議の成果として最も望ましいのは、次回会合の開催にこぎつけることだと指摘。「前進に向けた道筋があるとの認識で一致する必要がある」と語った。

原題:Revamped Iranian Leadership Wary Ahead of US Peace Talks(抜粋)