• 高騰したガソリン価格、CPI全体の伸びの約4分の3を占める
  • 住宅とエネルギー除くサービス価格は0.2%上昇、年初来で最小
CPIは2022年以来の大幅な伸び
CPIは2022年以来の大幅な伸びPhotographer: Victor J. Blue/Bloomberg

Augusta Saraiva

3月の米消費者インフレは前月比で、2022年6月以来、約4年ぶりの大幅上昇となった。イランとの戦争でガソリン価格が急騰したことが背景にある。

キーポイント
消費者物価指数(CPI)は前月比0.9%上昇-市場予想も0.9%上昇
前年同月比では3.3%上昇-予想3.4%上昇
2024年以来の高い伸び

食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.2%上昇-市場予想は0.3%上昇
前月は0.2%上昇
前年同月比では2.6%上昇-予想2.7%上昇

米CPIは2022年以来の大幅な伸び

  発表元の米労働統計局によると、ガソリン価格の記録的な上昇が月次の伸びの約4分の3を占めた。

  中東での戦争が米経済に急速に影響を及ぼし、近年多くの家計が直面してきたアフォーダビリティー(暮らし向き)の問題を一段と悪化させている。米国ではすでにガソリン価格の上昇が実感されており、デルタ航空や郵政公社などのサービス提供企業も今後の値上げを表明している。

  米国とイランの停戦が維持され、紛争が速やかに解決したとしても、原油生産が正常化する過程でコスト上昇は当面続く可能性が高いとエコノミストはみている。

  エネルギー価格の上昇にとどまらず、肥料供給の混乱はいずれ食料品価格の上昇につながると見込まれるほか、輸送コストの上昇も幅広い消費財に影響を及ぼす可能性がある。

  ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏はリポートで、「先行きについては、4月の総合CPIも同程度の上昇になると見込んでいる」と指摘。「戦争終結に向けた長期的な合意が成立し、ホルムズ海峡が完全に再開されたとしても、原油やガソリン、ディーゼルなどの供給が戦前の水準に戻るまでには数カ月を要するだろう」と述べた。

  S&P500種株価指数は上昇して始まり、ドルは下落した。

財とサービス

  ガソリン価格は21%上昇したものの、エネルギー以外の消費者物価は比較的落ち着いた動きとなった。食品とエネルギーを除くコア財価格は2カ月連続で前月比0.1%上昇と、小幅な伸びにとどまった。これは、トランプ大統領の関税の影響を見極める上で、エコノミストや政策当局が注視している指標だ。中古車価格は4カ月連続で下落した。

  食料品価格は肉類や乳製品、卵の価格下落を受けて0.2%低下した。ブルームバーグ・エコノミクスは、肥料価格の上昇がCPIに影響を及ぼすまでに最長で1年程度かかる可能性があると試算している。

  エネルギーを除くサービス価格は3月に0.2%上昇した。航空運賃は2.7%上昇。戦争によりジェット燃料のコストが上昇する中、一段の値上がり前に価格を確定しようとする顧客の動きが広がっている。ユナイテッド航空ホールディングスは最近、石油ショックを受けて運賃を最大20%引き上げる可能性があると警告した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのトロイ・デュリー氏はリポートで「財価格の上昇が加速するシナリオでも、サービス価格の落ち着きが続けば、米連邦準備制度理事会(FRB)は石油ショックの影響を一時的なものとして見過ごす可能性が高い。特に来年初めにはベース効果により前年比の伸びが大きく抑制される見込みだ。FRBが2026年第4四半期まで金利を据え置き、その後に労働市場を支えるために0.5ポイント引き下げると予想している」と指摘した。

  FRBが注視する、住宅とエネルギーを除いた別のサービス指標も0.2%上昇と、年初来で最も緩やかな伸びとなった。指数の中で最大の構成比を占める住居費は0.3%上昇した。

  医療サービス価格はほぼ変わらず。一方、理髪などを含む「その他の個人サービス」は過去最大の下落となった。スポーツイベントの入場料は10%余り低下した。

  FRB当局者は、石油ショックや戦争全般が物価に与える影響を注視している。先物市場の動向によると、インフレ再燃への懸念から、2026年に追加利下げが実施される可能性は低いとみられているが、多くのエコノミストは年内に1回以上の利下げをなお予想している。

  賃金の伸びが経済の主な原動力である消費支出の見通しを判断する手掛かりとなるため、金融当局は賃金動向にも注目している。別に発表された実質平均時給は前年同月比でわずか0.3%の上昇にとどまり、2023年以来の低い伸びとなった。

  エコノミストは物価上昇と労働市場の弱さが消費支出の重しになるとの見方から、今年の成長見通しを引き下げている。9日に発表された2月の個人消費支出(PCE)は実質ベースで前月比わずかな増加にとどまり、需要の低迷が続いていることが改めて示された。

  統計の詳細はをご覧ください。

原題:US CPI Surges 0.9% in Largest Monthly Jump Since 2022 on Gas (5)(抜粋)