- 協議は1日延長される可能性がある-イラン準国営タスニム通信
- 駆逐艦2隻がホルムズ通過してペルシャ湾内で作業-米中央軍

Dan Strumpf、Arsalan Shahla、Tooba Khan
米国とイランは11日、パキスタンを交えた3者による直接協議をイスラマバードで行った。米国およびイラン当局者が明らかにした。2週間の停戦の合意を受け、紛争の持続的な解決を目指している。
米国の代表団はバンス副大統領が率いており、ウィトコフ特使とトランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏らが同行。一方、イランのタスニム通信によると、同国代表団は計71人で、ガリバフ国会議長が率い、アラグチ外相らも協議に参加している。
協議は現地時間午後5時半ごろに始まり、約1時間後に実務面を担う専門家チームが合流した。話し合いは休憩を挟みながら8時間を超え、日をまたいで続いている。
双方とも日程を公表しておらず、協議がどの程度の期間続くのかは不透明だ。
トランプ米大統領はマイアミで開催される総合格闘技団体「UFC」の試合を観戦するためホワイトハウスを後にする際、進行中の協議について「非常に踏み込んだものだ」と述べた。
そのうえで「合意に至るかどうかは私にとって大した問題ではない」とし、「なぜなら、われわれはすでに勝っているからだ」と続けた。
米国およびパキスタンの当局者によれば、実務レベルでの協議は、ホルムズ海峡問題や停戦延長の可能性、制裁緩和の段階的実施に焦点を当てる一方で、トランプ政権が戦争に踏み切る要因とした核心的な問題の大半は回避された。それにはイランの武装勢力への支援や、核・ミサイル開発計画などが含まれる。
イランのファルス通信によれば、ガリバフ氏はイスラマバード到着後に記者団に対し「われわれには善意はあるが、信頼はしていない」と述べた。
「今後の交渉で米国側が真の合意に向けた用意があり、イラン国民の権利を認めるのであれば、われわれも合意に向けた用意があることを示すだろう」と語った。
イラン国営テレビは外務省報道官の発言として、10項目の提案パッケージに基づくイランの検討事項や見解、要求をパキスタン側に伝達したと報じた。
ホルムズ海峡
こうしたなか、米海軍の駆逐艦2隻が11日にホルムズ海峡を通過し、機雷除去の任務開始に向けた準備作業を行った。米中央軍が明らかにした。米中央軍がXに投稿した声明によれば、駆逐艦「フランク・E・ピーターソン」と「マイケル・マーフィー」が同海峡を通過してペルシャ湾で作業を行った。
向こう数日で水中ドローン(無人機)などの米軍戦力が追加投入され、機雷除去のための作戦に加わるという。
米中央軍のクーパー司令官は「本日、新たな航路の確立に向けたプロセスを開始した。この安全な航路を海運業界と近く共有し、商取引の自由な流れを促進したい」と述べた。
アクシオスはこれに先立ち、米海軍の艦船数隻が11日にホルムズ海峡を通過したと、匿名の米当局者を引用して報じた。海峡通過はイラン側との調整がないまま行われたとしている。艦船は海峡を東から西へと通過してペルシャ湾内に入り、その後アラビア海へ戻ったという。
これとは別にイラン準国営のファルス通信は、アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラからホルムズ海峡に向かう米駆逐艦の動きをイラン軍が監視し、その内容をパキスタンを通じて米国側に伝達したと報じた。
トランプ大統領は協議を前にイランへの圧力を強めようとし、10日のSNS投稿で、同国が持つ唯一の交渉材料は「国際水路を利用した短期的な世界へのゆすりだ」と指摘。原油や液化天然ガス(LNG)輸送の要衝で、事実上の封鎖状態が続いているホルムズ海峡を念頭に置いた発言とみられる。
またトランプ氏は同日遅く、ホルムズ海峡は「かなり早期」に再開するとの見通しを記者団に示すとともに、そうならなければ軍事行動を再開する可能性があると警告した。
複数の超大型タンカーがホルムズ海峡を通過している様子が確認されるなど、動きの兆しが出始めている。ただ、海運は引き続き深刻な混乱が続いている。
レバノン情勢
停戦は中東全体でおおむね維持されているが、石油タンカーなどの船舶が海峡を円滑に通過できない状況に加え、レバノンでイスラエルと親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘が続いていることで、イスラマバードでの協議が複雑化する恐れがある。
イスラエルは、2週間の停戦につながった交渉には参加しておらず、11日もヒズボラとの交戦が続いた。トランプ氏は今週、イスラエルのネタニヤフ首相に対し、レバノンでの攻撃を縮小するよう伝えたと述べた。

ガリバフ氏はパキスタン到着前、レバノンにおける停戦は「交渉開始前に履行されねばならない」措置の一つだとXに投稿。「イラン資産の凍結解除」も条件だとしたが、詳細には言及しなかった。
イランのヌール・ニュースは、「イスラマバードで『米国第一主義』の代表と交渉するのであれば、双方および世界にとって有益な合意が成立する可能性がある」とする一方、「『イスラエル第一主義』の代表と向き合うなら、合意は成立しない」とのアレフ第1副大統領の発言を伝えた。
トランプ氏はイランの「文明全体を消し去る」と警告する一方で、米国とイランの合意は「中東の黄金時代になる可能性もある」とするなど、発言にブレが見られる。
他方、米国とイスラエルによる空爆で3000人余りが死亡したと主張するイランは、ホルムズ海峡への影響力を背景に、強気の姿勢を崩していない。
原題:US, Iran Hold Direct Talks in Pakistan on Ending War (1)