●株価は数週間前の水準に逆戻りも
<ファースト・スタンダード・フィナンシャルの首席市場エコノミスト、ピーター・カルディロ氏>パウエル氏が年内に3回を上回る利上げがある可能性を示唆すると同時に米国債(利回り)が上昇、ドルが小幅に値を上げ、株価は下落した。パウエル氏が示唆したのは、2%のインフレ目標は市場が予想するよりも早く達成できる見通しだということだ。これは、市場がまだ織り込んでいない利上げを意味する。10年債利回りが3%に近づけば、恐らく市場は再び下落傾向となり、株価指標は数週間前の水準に達する可能性がある。非常に厳しい展開が待っているかもしれない。
●期待通り、的確かつ明確
<カンバーランド・アドバイザーズの会長兼最高投資責任者(CIO)、デービッド・コトク氏>中立派で経験が豊富だと考えられている新議長として、期待されていたことをそのまま実行した。証言文書は的確かつ明確な内容だった。自身に向けられた質問や主張に忍耐強く耳を傾け、11月(の中間選挙)にかけての政治的な意図があると思える内容にも、すべてに落ち着いて対処した。金利が上向くトレンドをたどり、バランスシートの縮小を進めるという現在の段階的な道筋以外へのコミットメントを避けた。
●ややタカ派的、市場巡る言及は意外
<アルビオン・フィナンシャル(ソルトレークシティ)の最高投資責任者(CIO)、ジェイソン・ウェア氏>ややタカ派的だった。1つ意外だったのは、株式市場やこのところのボラティリティーについて懸念していないと直接言及した点だ。パウエル議長は「このところのボラティリティー」は懸念していないと述べた。短期的な株式相場の動向はFRBがとりわけ集中するものではないが、バーナンキ元議長、イエレン前議長の下でのFRBは、それ以前のFRBと比べて株式市場の動向を注視するところに特徴があった。パウエル新議長は議会で、こうしたことは特に神経質になることではないとし、段階的な利上げの軌道に乗っていると発言。これは株式・債券市場のこのところの動静を踏まえると、非常に地に足がついた発言だった。
●景気強まったとの発言、4回の利上げ示唆
<ジョーンズトレーディングの首席市場ストラテジスト、マイケル・オローク氏>年内に3回もしくは4回の利上げを実施するかとの質問に対し、パウエルFRB議長の回答はわれわれの四半期見通しとほぼ一致した。ただ、景気は強まっているとの認識を示したことは、利上げ見通しを4回に引き上げる可能性があることを示唆したと受け取られ、相場は反応した。
●金利見通し、積極的なメッセージ無く
<テンパス(ワシントン)のトレーディング部バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏>前任のイエレン氏とほぼ同様の内容だったようだ。緩やかな追加利上げを見通すなどした。今回の機会を活用して、金利見通しについてより積極的なメッセージを発するとの一部予想もあったようだが、本日は外れた格好だ。
●良好な米経済示す
<グリーンウッド・キャピタル(サウスカロライナ州)の最高投資責任者(CIO)、ウォルター・トッド氏>パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言と26日のクオールズFRB副議長の発言は、米国経済が非常に良好であることを示した。これまで長期に渡って「経済は順調である」とされてきたが、一段と良くならない言い訳などが常にあった。ただ今回のパウエル議長の議会証言では状況が非常に良いことが示されたとみている。米国株が下げた理由は何か。思うにパウエル議長が議会証言の中で利上げに言及したことが要因なのだろう。市場が求めているものは一貫性であり、FRBの思考プロセスにおける大きな変化などではない。その点で言えば、パウエル議長はうまくやったと言える。