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金正恩氏、韓国特使らと会談 会談後は夕食も<日経Web版>2018年3月5日19時03分

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2018年を迎えて新年の辞を発表する金正恩・朝鮮労働党委員長。朝鮮中央通信が伝えた=1月1日、朝鮮通信

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は5日夕、訪朝した韓国大統領府の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長や徐薫(ソフン)国家情報院長ら特使団と平壌で会談した。会談後は夕食も共にする。韓国大統領府が発表した。正恩氏は中国やキューバなどの当局者と会談したことはあるが、日米韓の当局者と会談するのは初めて。韓国側は非核化を巡る米朝会談の開催に応じるよう正恩氏を説得した模様だ。

正恩氏が韓国側との会談に応じた背景には、南北関係改善をアピールし、米韓同盟や国際社会の制裁網を揺さぶる狙いがある。同時に、米国の攻撃や制裁による経済難への懸念も深まっているとみられ、正恩氏が韓国の説得に応じるかどうかが注目される。

韓国大統領府は5日深夜、「平壌からこれ以上の連絡はない」とし、同日の説明を打ち切った。詳しい背景への説明はなかった。会談結果の詳細は6日に公表される見通しだ。北朝鮮は従来、核保有国の地位を認めるよう要求してきた。米国との対話は「核廃棄ではなく、対等な立場での軍縮協議」とする一方、米韓合同軍事演習の中止や延期を求めていた。

労働新聞(電子版)は5日付の論評で、トランプ米政権による北朝鮮に対する追加制裁を非難した。北朝鮮外務省報道官も3日、非核化を前提とした米朝対話を拒む考えを改めて強調。米朝対話が実現する見通しは立っていない。

これに対し韓国側は、平昌(ピョンチャン)パラリンピック後に米韓合同軍事演習を実施し、北朝鮮が非核化に応じるまで制裁を続けるとした米側の意思が変わらないことを説明。文在寅(ムンジェイン)韓国大統領の親書を正恩氏に手渡し、緊張緩和や南北関係改善のためにも、非核化を巡る米朝対話に応じるよう求めたとみられる。

鄭氏は訪朝前の5日午前、「半島の非核化と恒久平和を実現させたい(文在寅)大統領の確固たる意思を伝える」と述べており、文氏の早期訪朝と南北首脳会談の開催を提案した正恩氏の真意を巡っても意見交換したとみられる。

鄭氏らは5日午後、平壌の順安空港に到着。北朝鮮の李善権(リソングォン)祖国平和統一委員長らが出迎えた。鄭氏らは平壌の高坊山(コバンサン)招待所で金英哲(キムヨンチョル)党副委員長らと会談し、正恩氏との会談で合意した。鄭氏と徐氏は訪朝後、米国を訪れて結果を説明する。韓国が米朝対話に向けた北朝鮮の説得に失敗し、南北関係改善だけが先行した場合、米韓関係が悪化する可能性もある。

文氏の外交ブレーンによれば、韓国大統領府内には現在、南北首脳会談の開催について、国際的な北朝鮮制裁網に同調すべきだとする慎重論と、朝鮮半島を巡る緊張緩和を急ぐべきだとする早期開催論がある。6月13日には統一地方選もあり、南北関係改善を追い風にしたい思惑もある。(ソウル=牧野愛博)

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