[19日 ロイター] – 米大統領選でトランプ陣営が契約したデータ会社が、フェイスブック利用者5000万人以上の個人情報を収集したとの報道を受け、欧米議会で調査を求める声が強まった。19日の取引で、フェイスブック株は7%強安、時価総額約400億ドルを失った。1日では2012年9月以来の大幅安となる見通しだ。
米紙ニューヨーク・タイムズと英紙オブザーバーは17日、16年の米大統領選でトランプ陣営が契約していたデータ分析会社、ケンブリッジ・アナリティカ(CA)が、フェイスブック利用者5000万人以上の個人情報を収集していたという疑惑が浮上したと伝えた。
フェイスブックは19日、CAについて包括的な審査を行うため、電子情報の科学捜査を手掛けるストローズ・フリードバーグ社を起用したことを明らかにした。CAはストローズ・フリードバーグ社に、サーバーやシステムへのアクセスを全面的に認めるなどした。CAはウェブサイトに載せた声明で、疑惑を強く否定した。
米共和・民主両党上院議員らは、同社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)らの証人喚問を呼び掛けた。民主党のクロブシャー議員は「これらのプラットホームが自らを監視できないことは明白」と指摘した。共和党のケネディー議員と共同書簡で、上院司法委員会のグラスリー委員長に対し、ザッカーバーグ氏のほか、アルファベット傘下のグーグル、ツイッターのCEOも呼んで公聴会を開くよう求めた。
民主党のワイデン上院議員はザッカーバーグ氏に宛てた書簡で、第三者との利用者データ共有に関するポリシーについて回答を求めた。 第三者が過去10年間に、プラットホームポリシーに違反して、データを収集・処理した事例を把握した回数などを問いただした。
上院は19日、オンライン上での性的人身売買問題対処に向け、ネット業界保護を縮小する法案の審議を進める見通しだ。法案はすでに下院を通過しており、まもなく成立する見込みだ。この日は規制強化への懸念が広がり、ツイッターやアルファベット、スナップ株の重しとなった。
英国のメイ首相報道官は、疑惑について強い懸念を表明した。今回の疑惑と別に、英国内では利用者データが選挙で悪用されたについて、民事・刑事両面の調べが進んでいる。情報コミッショナー事務局(ICO)は、今回の疑惑が新たな証拠材料になる可能性もあるとの見方を示した。
英議会のコリンズ委員長(保守党)は声明で「だれかが責任を取る必要がある。ザッカーバーグ氏がフェイスブックページの背後に隠れるのをやめるときだ」と語った。欧州議会のタヤーニ議長は、疑惑について市民のプライバシー権を侵害し、受け入れがたいと指摘、データが悪用されたのかを調べる方針を表明した。ドイツの緑の党は同国政府に、国内への影響を議会に報告するよう求めたことを明らかにした。