アメリカのトランプ大統領はシリアで化学兵器の使用が疑われる攻撃があったことを受けて、「ミサイルが飛んでいくぞ」とツイッターに書き込み、ミサイル攻撃を強く示唆して警告しました。一方、マティス国防長官は同盟国と情報を精査中だとしていて、引き続き、軍事的な選択肢について検討を進めていると見られます。
アメリカのトランプ大統領は11日朝(日本時間11日夜)、ツイッターにアサド政権を支援しているロシアに向けて、「ロシアはシリアに向けて発射されたいかなるミサイルも撃ち落とすと言っている。ロシアよ、準備しろ。ミサイルが飛んでいくぞ」と書き込みました。さらに、「洗練された高性能な新型だ」と続け、ミサイルによる精密攻撃を強く示唆し、警告しました。
一方、マティス国防長官は11日、記者団からアサド政権による化学兵器使用の十分な証拠がそろったのか問われたのに対し、「われわれはまだ、同盟国と情報を精査している。まだ取り組んでいる」と述べ、同盟国と分析を進めていると明らかにしました。また、軍事攻撃については「大統領が適切だと判断すれば、軍事的選択肢を提供する準備はできている」と述べるにとどめました。
トランプ大統領は先にフランスのマクロン大統領やイギリスのメイ首相と電話で会談し、軍事行動をめぐる協調についても協議したとされ、引き続き軍事的な選択肢について検討を進めていると見られます。
ロシア「作り話だ」
アサド政権を支援するロシア大統領府のペスコフ報道官は「ツイッター外交に参加するつもりはない」と述べました。そのうえで、シリアで化学兵器の使用が疑われる攻撃があったことについては「作り話だ。軍事行動の口実にされてはならない」と述べて、アメリカを強くけん制しました。
国連 対話継続を呼びかけ
シリアで化学兵器の使用が疑われる攻撃があったことを受けて、アメリカのトランプ大統領がミサイル攻撃を強く示唆していることについて、国連のデュジャリック報道官は11日の記者会見で、「なによりもシリア国民がどうなるのか心配だ。安保理と国際社会が結束して、対立を政治的に解決することを望んでいる」と述べて、事態の打開に向けた対話の継続を呼びかけました。
そのうえで、「グテーレス事務総長の部下がさまざまなレベルで関係国と接触している」と述べて、国連としても外交努力を続けていると強調しました。一方、国連安全保障理事会では、メンバー国の南米ボリビアが「いかなる単独行動も国連憲章違反だ」として、今後の対応を話し合うため、12日午前に非公開の会合を開くよう要請し、調整が行われています。
安保理ではシリアで化学兵器が使用された疑惑が出てから、緊急の会合や決議案の採決が行われましたが、アメリカとロシアが鋭く対立して、一致した行動がとれず各国のいらだちが強まっています。
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