• 11日に米軍が報復行為に出るとは想定されていない-関係者
  • 米国は合法的な政府を攻撃するべきではない-ロシア外務省
トランプ大統領
Photographer: Andrew Harrer/Polaris

トランプ米大統領はシリアに対する軍事行動についてまだ選択肢を検討している段階にあり、大統領は11日にマティス国防長官と会談した。大統領はこれより先、シリアに対する米軍のミサイルを全て打ち落とすと公言したロシアに対し、「準備するがいい」と警告していた。

事情に詳しい関係者2人の情報によれば、大統領はまだ、シリアのアサド政権に対する報復計画を決定しておらず、11日に米軍が攻撃を起こすとは想定されていない。シリアでは先週末、ダマスカス近郊で化学兵器が使われた疑惑が深まっている。

トランプ氏は米国時間の11日朝、ツイッターで「ロシアはシリアに対するあらゆるミサイルを打ち落とすと公言している。ロシアよ、準備するがいい。新型で素晴らしく、『高性能の』ミサイルがやって来るからだ。自国民を殺りくし、それを楽しんでいるような化学兵器のけだものと仲間になるべきではない!」と述べた。

さらに「われわれとロシアの関係は冷戦時代を含め、史上最悪だ。これに道理はない。ロシアは経済への後押しで米国を必要としている」とツイートを続けた。

ロシアとの関係は「史上最悪」と話すトランプ大統領

マティス国防長官は11日、「適切と判断すれば軍事的な選択肢を提示する用意がある」と語った。一方、同省のパホン報道官は、シリアの化学兵器使用に対して「国際社会は速やかな対応が求められている」と言明した。トランプ氏の発言はすでに戦争を懸念していた投資家心理を圧迫。ニューヨーク市場で原油価格は過去3年強で最高の水準に上昇。トルコやサウジアラビアの資産は売られている。

 

ロシア大統領府のペスコフ報道官は記者団に対し、シリア政府による化学兵器の使用疑惑は「作り話」であるとロシア政府は確信しており、軍事行動の口実に使われていると発言。「ツイッター外交には加わらない。まだ不安定なシリアの情勢を害するような措置を取らないことが重要であり、その考えに変わりはない」と述べた。

英国に拠点を置くシリア人権監視団によると、米主導の攻撃が迫っていることを見越し、シリア政府軍は空港や一部の主要軍事拠点から人員などを移動。シリア外務省は「シリアでのテロを支援してきた米国のような国が事態を悪化させる思い上がった行動に、われわれは驚いていない」と発表した。

トランプ氏をめぐっては、同氏の弁護士にまでモラー特別検察官の捜査が及んでいる。米国のシリア関与に長く反対してきたポール上院議員(共和、ケンタッキー州)は「ツイッターで戦争を約束するなど、憲法だけでなく前線で命をかける兵士に対する侮辱だ」と指摘した。

原題:Trump Meets Mattis as He Weighs Military Action in Syria (1)(抜粋)