[ニューヨーク 27日 ロイター] – ニューヨーク外為市場は、ドルが安全資産とされる円やスイスフランなど大半の通貨に対して急伸した。中国勢の投資を巡るトランプ政権の姿勢が軟化したと受け止められた。

ドルは対円JPY=で0.15%高の110.21円、スイスフランCHF=に対して0.64%上昇した。

ウェルズ・ファーゴ証券の通貨ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「姿勢がやや軟化する前は円が高めだった。ニュースを受け円が弱含んだ」と指摘する。

トランプ大統領は中国企業による米ハイテク技術獲得への対応で、中国に特化した制限を課すのでなく、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査を強化する方針を表明した。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマール・エジナー氏は「対中通商問題対応の主要部分が既存の省庁間組織を通じて行われることで、トランプ氏の『わが道を行く』路線への懸念が和らぐだろう」と予想する。

主要6通貨バスケットに対するドル指数.DXYは、0.65%高の95.274と続伸の勢い。

対中貿易に依存するオーストラリアとニュージーランド(NZ)の通貨は引き続き圧迫された。NZドルが対米ドルで0.98%安、豪ドルは0.55%下落した。

オフショア人民元CNH=D3は一時、6.6195元と昨年12月半ば以来の安値を付けた。中国人民銀行(中央銀行)が、人民元の対ドル基準値(中間値)を昨年12月25日以来の元安水準に設定したことが材料視された。

トレーダーらは、米関税の影響を和らげるため中国側が一段の元安を容認するとみている。

ユーロは対ドルEUR=で0.76%安の1.1557ドル。貿易摩擦やドイツの政治危機、移民・難民問題への欧州連合(EU)首脳会議を巡る不透明感が懸念され、重しとなっている。

英ポンドはユーロGBPEUR=とドルGBP=に対して弱含んだ。EU離脱交渉のほか、英中銀の年内利上げに懐疑的な見方が広がり、ポンド相場の見通しが悪化した。

ドル/円
NY終値 110.25/110.27
始値 109.84
高値 110.48
安値 109.85

ユーロ/ドル
NY終値 1.1552/1.1555
始値 1.1632
高値 1.1639
安値 1.1541