経済活性化の鍵となる賃上げが加速の兆しを見せている。2%の物価上昇へ向け、金融緩和を続ける日本銀行にとっても追い風だ。

厚生労働省の毎月勤労統計によると、5月の現金給与総額は前年比2.1%上昇となり、2003年6月以来15年ぶりの伸びとなった。一般労働者の基本給を含む所定内給与も00年3月以来となる同1.4%上昇。

人手不足を背景に労働市場は働き手優位となっており、非正規だけでなく正規雇用も増加するなど、賃上げが加速しやすい環境となっている。ただ2%の物価目標達成には一段の賃上げが必要で、賃金改善にも関わらず消費には弱さが目立つ。

農林中金総合研究所主席研究員の南武志氏は電話取材で、賃金が「ようやくここに来て上がり始めた」と指摘。ボーナスを除いても1%台半ばまで増加しており、「来年になればもう少し増える」との見方を示した。

チャートでは、賃金上昇につながる動きをしている指標を緑の線で示した。中立はオレンジ、悪化あるいは低水準は赤とした。

賃金

雇用

生産性

備考:%の変化率は前年同月比、正社員と非正規社員の増減数は前年同月比
出所:厚生労働省(毎月勤労統計調査、一般職業紹介状況)、総務省(労働力調査)、日本生産性本部