[ワシントン 9日 ロイター] – 米中は9日にワシントンで閣僚級の外交・安保対話を開催し、両国間の通商問題のほか、アジア太平洋海域での航行の自由から台湾問題に至るまで幅広い地政学上の懸案について意見を交換した。
同対話には米国からポンペオ国務長官とマティス国防長官、中国から楊潔チ・共産党政治局委員と魏鳳和国防相が出席。対話は10月に北京で開催される予定だったが、両国間の緊張の高まりを受け見送りとなっていた。
今回の対話では、米国が中国に対し南シナ海の軍事拠点化を中止するよう呼び掛けたのに対し、中国は領有を主張する同海域の島付近に米国が軍艦や空軍機を派遣していることを非難。中国側はこのほか、米中の通商戦争では双方が痛手を負うとし、問題の解決に向けコミュニケーション経路の確保を呼び掛けた。
ポンペオ国務長官は共同記者会見で、北朝鮮の核廃棄問題に言及し、「多くの問題でコミュニケーションが重要な役割を果たす」と発言。ただ中国が南シナ海の人工島に軍事拠点を設置している問題について、「米国は南シナ海での中国の活動と軍事化に引き続き懸念している」とし、「中国に対し過去のコミットメントを順守するよう要請した」と述べた。
楊氏はこれに対し、中国には米国とともに問題に取り組んでいく用意があるとしながらも、中国が領有権を主張する南シナ海の島に軍艦や空軍機を派遣するのをやめるよう要請した。また、通商問題については両国が相互に納得できる方法で「遠くない将来に」解決できることを望むと語った。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、今月末にアルゼンチンで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する際に会談を行う。