エイズウイルス(HIV)に感染しにくい体質に変えるために受精卵にゲノム編集を行い、双子の女児を誕生させたとネット上の動画で主張している、南方科技大(広東省深圳市)の賀建奎副教授の研究に対し、中国国内でも批判が広がっている。
同大は26日、「国際的な学術倫理に著しく背いた」と賀氏を非難したうえで、専門家による委員会を立ち上げて調査に乗り出すとの声明を発表した。声明によると、賀氏は大学側に事前に報告していなかったという。
AP通信によると、賀氏は深圳の病院から研究について承認を受けたと主張している。しかし、この病院は27日、「賀氏のいかなる実験にも関与していない」とする声明を発表。この病院では、ゲノム編集でエイズウイルスに対する免疫を持たせた双子の女児は生まれていない、と否定した。
中国の科学技術省の徐南平次官は27日、朝日新聞などの一部の海外メディアに対し、「賀氏の研究が事実であれば、明らかに中国の条例に違反する」と指摘した。同省は緊急会議を開き、事実関係の確認を急いでいることを明らかにした。(香港=益満雄一郎)