[ニューヨーク 27日 ロイター] – ニューヨーク外為市場でドルが上昇し2週間ぶり高値を付けた。米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長はこの日、引き続き緩やかな利上げを継続する必要があると表明。これが一部の予想ほどハト派でないと受け止められ、ドル買いを誘った。

クラリダ氏は米国の金融政策が中立的なスタンスに近づきつつある中、新たな経済指標を緊密に注視することが「特に重要」になっていると強調した。

ウエストパック・バンキングコープ(ニューヨーク)のFX戦略部部長、リチャード・フラヌロビッチ氏は「市場はもっとハト派的な内容を見込んでいたと思う。数週間前の初講演でクラリダ氏はある種、慎重な人物に写り、ドルは大幅に下落したが、この日は一層中立的な印象を受けた」と述べた。

クラリダ氏は今月16日、米金利はFRBが中立金利と見なす水準に近づいているとし、中立的であることは「理に適う」との見解を示していた。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは一時97.497と今月13日以来の高値を付けた。市場では28日のパウエルFRB議長の講演や29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に注目が集まる。パウエル議長は10月、米経済見通しは「際立って良好」とした上で、経済成長が続けばFRBは中立とみられる水準を超えて利上げを行う可能性もあるとの考えを示していた。

TD証券(トロント)の北米FX戦略部部長、マーク・マコーミック氏は「10月のパウエル氏の講演は非常にタカ派的と受け止められた。それ以降FRBは緩やかながら後退している。この日のクラリダ氏の発言は中立水準を超える利上げが特定の目標でないことを裏付けるものだが、同時に指標次第では実際に起こり得るを示している」と述べた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はトランプ米大統領が2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げるとの見通しを示したと報じた。これを受けて貿易摩擦を巡る懸念が強まりドルが買われた。トランプ氏と中国の習近平国家主席は週末のブエノスアイレス20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)開催中に首脳会談を行う予定だ。またトランプ氏は、英国が欧州連合(EU)から離脱すれば米英間の貿易がより困難になる可能性があると発言。これを受けポンドが値下がりした。

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