[ワシントン 27日 ロイター] – 複数の関係筋によると、トランプ米大統領は国内企業に対し、中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)が製造した通信機器の利用を禁止する大統領令を来年に発令することを検討している。
大統領令は、米国企業が国家安全保障上、重大な脅威となり得る海外通信機器市場から機器を購入することを阻止するよう商務省に指示する内容。通信業界と政権の関係者が明らかにした。
華為技術と中興通訊が名指しされる公算は小さいが、関係筋の1人によると、商務省は両社製通信機器の利用拡大を制限する権限を得たと解釈する見通し。
文面は最終決定していないという。国際緊急経済権限法を発動するもので、大統領が非常事態を宣言し、商取引を規制する。
米国は、両社が中国政府の指示を受けているとみており、米国人に対する諜報(ちょうほう)活動に両社の製品が利用される可能性があると主張している。
ホワイトハウス当局者は、米国が「第5世代移動通信システム(5G)など通信インフラ整備時のリスク軽減に向け、同盟国や同様の考えを持つ連携国とともに政府内で横断的に取り組んでいる」としたが、これ以上公表できる材料はないとした。
大統領令は8カ月以上前から検討されており、早ければ来年1月にも発令される可能性がある。大統領令については、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が今年5月に初めて報じたが、現時点では発令されていない。
米国では今年8月に、両社と米政府の取引制限を盛り込んだ国防権限法が成立している。
両社のコメントは取れていない。両社は自社製品が諜報活動に利用されているのではないかとの疑惑を過去に否定している。
中国外務省の華春瑩報道官は、公式に確認されていないとして大統領令に関するコメントを避けた。
<地方の通信会社に打撃>
米国では、地方の通信会社が両社の最大の顧客となっている。
モンタナ州の通信企業は2010年、自社ネットワークの入札に絡み、スウェーデン通信機器大手エリクソンの機器価格が華為技術製品の4倍近くだったと明かす。
大手携帯電話会社は、特に華為技術との関係解消に動いているが、地方の中小通信会社は相対的に価格の安い両社の通信機器を利用している。
加入者10万人未満の通信会社が加盟する米国の地方無線協会(RWA)が今月、連邦通信委員会(FCC)に提出した文書によると、同協会の会員企業の推定25%が華為技術か中興通訊の製品を利用している。
RWAの法律顧問によると、同協会は大統領令が発令されれば、会員企業が両社製品の交換を強制されるのではないかと懸念している。両社製品の交換には会員全体で8億─10億ドルの費用がかかる見通しだ。