- 医療分野が雇用増を主導、カリフォルニア州などでのスト終結が寄与
- 労働参加率は2021年以来の低水準、失業率低下の一因に

3月の米雇用統計では雇用者数が持ち直し、失業率も予想外に低下した。イラン戦争が始まった中でも、労働市場が安定しつつあったことを示唆している。
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| 非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比17万8000人増加 エコノミスト予想の中央値は6万5000人増 2月は13万3000人減(速報値は9万2000人減)に下方修正 家計調査に基づく失業率は4.3%に低下 市場予想は4.4% 前月は4.4% |

雇用者数は2024年12月以来の大幅増となり、ブルームバーグがまとめた全てのエコノミスト予想を上回った。
2月は3万人超の医療従事者によるストライキや冬の悪天候が影響し、雇用が大幅に落ち込んでいたことから、エコノミストの間では3月は広く回復が見込まれていた。
この堅調な増加は、中東での戦争をきっかけにエネルギー価格が急騰する中、インフレリスクに対する米金融当局の警戒姿勢を一段と強める可能性が高い。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、マイケル・パグリース氏は「中東での紛争がなければ、労働市場の安定という見方は一段と強まっていただろう」と述べた。「ただ問題は、いまやこの新たなショックが経済に影響を及ぼし始めていることだ」と指摘した。
雇用者数の増加は医療分野が主導した。カリフォルニア州とハワイ州での医療関係者によるスト終結を受けて回復した。ただ、雇用の増加は幅広い業種にわたっており、採用の広がりを示す指標は約2年ぶりの高水準となった。
2月に減少していた建設業や娯楽・ホスピタリティーも増加に転じた。天候要因による反動の可能性がある。製造業は2023年11月以来の大幅増となった。
雇用統計の発表を受け、米国債利回りは上昇した。株式市場はグッドフライデーの祝日のため休場。
アナ・ウォン氏らブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミストは「雇用者数は6月にかけて勢いを増すと見込まれる。米国がサッカーのワールドカップを開催することに伴い、娯楽・ホスピタリティー分野での採用が増えるほか、貨物輸送部門でも景気循環的な回復が見込まれるためだ」と指摘。
「イラン戦争開始以降の大規模な供給ショックが雇用統計に反映されるのは、今年後半になる可能性が高い。その時期には失業率もより速いペースで上昇する」と予想した。
非農業部門雇用者数は2月改定値で13万3000人減と、コロナ禍以降で最大級の減少だった。ただ、今年最初の3カ月間の平均は6万8000人増と、約1年ぶりの高い伸びとなった。
3月の失業率は4.3%に低下したが、その一因は労働市場から離れる人が見られたことにある。就業者と求職者が人口に占める割合を示す労働参加率は61.9%へ低下し、2021年以来の低水準となった。
いわゆる働き盛りの25-54歳の労働者の参加率も低下した。経済的な理由からパートタイムでの仕事を余儀なくされている労働者は増加した。
エコノミストは労働需給の動向が賃金上昇にどのような影響を与えているかにも注目している。とりわけ、インフレリスクが再燃する中で、その重要性が増している。
平均時給は前月比0.2%上昇。前年同月比では3.5%上昇と、ほぼ5年ぶりの低い伸びとなった。こうした状況は、戦争によるエネルギーコストの急騰に直面する消費者にとって問題となる可能性がある。

NEC’s Hassett Sees Positive Momentum Behind Jobs Report1:47ハセット国家経済会議(NEC)委員長インタビュー
雇用統計は3月第2週時点の状況を反映しており、2月28日に米国とイスラエルが中東で武力行使に踏み切った直後に当たる。
軍事行為が長引けば、企業がエネルギー価格の上昇や需要の減退の可能性に対応して採用を遅らせたり人員削減に踏み切ったりすることが見込まれ、今後の雇用統計にはより大きな影響が及ぶとエコノミストはみている。
国家経済会議(NEC)のハセット委員長は「きょうの雇用統計が示す通り、年間見通しを大きく修正する必要が生じるとは思わない」と、ブルームバーグテレビジョンで述べた。「アジア経済には短期的に一定の悪影響が出るだろうが、その混乱はごく短期間で収束すると見込んでいる」と語った。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Jobs Gain of 178,000 Tops Forecasts, Unemployment Falls (6)(抜粋)