今朝は珍しく大きなニュースが重なった。米朝首脳会談一辺倒かと思いきや、トランプ大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告(52)が下院監視・政府改革委員会の公聴会で証言、「彼は人種差別主義者で、詐欺師だ」(ロイター)と言明した。それだけではない。大統領と意見の食い違いを見せたライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が下院歳入委員会での公聴会で証言「米中の通商問題は非常に深刻で、中国が米国製品の購入を増やすだけでは不十分」(同)と強調した。その上で「両国が通商合意に至るには依然、相当な努力が必要になる」(同)との認識を示した。一方、英国議会では条件付き離脱延期に道を開く政府方針が可決された。混迷する英議会に一条の光が差した。

インドとパキスタンの紛争は軍用機の墜落という事態に発展した。時事通信によると、「パキスタン外務省は27日、インドとの係争地カシミール地方で、空軍機がインド側を攻撃したと明らかにした。パキスタン軍はさらに、自国側領空でインド空軍機2機を撃墜したと発表。インド側もパキスタン空軍の戦闘機1機を撃墜しており、インドによる26日の越境攻撃を受け、核保有国同士の対立は激化する様相となった」とある。いつの間にか印パ紛争が拡大の危機を迎えている。この間、米議会ではパウエルFRB議長の議会証言も行われた。米経済はなんとか持ち直しつつあるが、同議長は「年内にバランスシート縮小停止」の方針を改めて示している。FRBは2017年10月、金融危機後に膨れ上がったバランスシートの正常化に乗り出したが、その動きを年内に停止するという。これも世界経済の先行きに大きな影響をもたらすだろう。

いずれも今後の政治・経済に大きな影響を及ぼしそうなニュースである。一方の米朝首脳会談。トランプ・金両首脳とも「大成功」との事前宣伝を積極的に行なっている。時事通信によると、北朝鮮の国営朝鮮中央通信は今朝「今回の会談で包括的で画期的な結果を出すための真摯(しんし)かつ深い意見交換を行った」と伝えた。「画期的」だそうだ。結果は夕方には判明する。注目されるニュースはケバケバしく粉飾されているケースが多い。だが本当に重要なニュースはさりげなく流れてしまう。コーエン言の「詐欺師」、ライトハイザー氏の「中国に大幅な構造改革を実行させる」、英議会の離脱延期に道を開く議決、印パ紛争の再燃などいずれも米朝首脳会談より目先的な影響力が大きい気がする。これに勝る合意が今日の会談で実現するのだろうか……。