米国の大統領選挙は民主党の指名を争う候補者が乱立しており、トランプ氏と戦う相手選びが当面最大の焦点になる。そんな中で注目されるのが選挙資金の集金力。時事通信によると16日現在サンダース上院議員(77、無所属)が最多の選挙資金を集めていることが分かったという。連邦選挙委員会への報告によると、同氏が今年1~3月に集めた献金は1820万ドル(約20億円)で、2位のハリス上院議員(54)は1200万ドルだった。しかもサンダース氏は、「1人当たり200ドル以下の小口献金だけで、全体の8割以上の1530万ドルを集めた。前回の予備選で旋風を巻き起こす原動力となった『草の根』の支持が健在なことを示した」という。
もう一つ注目すべきニュースがある。最近話題のMMT(現代通貨理論)の提唱者の一人であるステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大ストーニーブルック校教授が、サンダース候補の顧問に就任した。同氏は2016年の大統領選挙の時も同候補の顧問を務めており、特段驚くほどのことではない。とはいえ、民主党左派を中心にMMTを推奨する議員が増えていること。加えてグリーン・ニューディールを提唱している若干29歳のアレクサンドリア・オカシオコルテス米下院議員(民主、ニューヨーク州)がMMT陣営に加わったこと。これでサンダース議員が指名争いの有力候補者として浮上しそうな勢いである。個人的には2016年の大統領選挙も、クリントン氏ではなくサンダース氏が候補になっていれば、トランプ大統領は実現しなかったと思っている。
気になるのはサンダース氏の年齢。現在77歳である。仮に大統領選挙に勝利したとしても、21年1月の大統領就任時には79歳になる。国内外を飛び回り肉体的にも精神的にもタフでなければ務まらないのが大統領職である。加えて社会主義者を自認するサンダース氏が大統領になれば、トランプ氏の大統領就任以上の軋轢が米国社会に広がるだろう。それにMMTである。サマーズ元財務長官をはじめパウエルFRB議長、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン教授、世界最大の運用会社であるブラックロックのラリー・フィンクCEOなど米国社会の“主流派”がこぞってこの理論をボロクソに批判している。いまのところ多くのメディアも真剣にMMTを取り上げていない。だが、個人的にはこの理論はサンダース候補への支持に歩調を合わせてジリジリと広まっていくような気がする。来年秋にはサンダース勝利のビックニュースが届く気がする。
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