[モスクワ/ウラジオストク(ロシア) 25日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は25日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談終了後に記者団に対して、朝鮮半島の非核化や制裁、米国について話し合ったことを明らかにした。 

両首脳はロシア極東ウラジオストクで会談。プーチン大統領は「会談の成果に満足している」と述べた上で、核プログラムを廃棄するためには、北朝鮮が国際的な安全の保証を必要としていると指摘。こうした保証が機能するには、日本を含め核問題に関する6カ国協議の参加国による多国間の枠組みの中で提供される必要があり、米国だけの保証では不十分との考えを示した。 

プーチン氏は「北朝鮮に必要なのは安全の保証だけであり、われわれは一丸となって考えなければならない。こうした安全の保証は国際的な枠組みでなければ成り立たず、2国間合意では不十分だ」と語った。 

北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議にはロシア、中国、日本、米国、韓国、北朝鮮が参加。プーチン大統領は北朝鮮に対する保証は国際的なもので、法的拘束力があり、かつ北朝鮮の主権を保証するものである必要があるとの考えを示した。 

プーチン氏と金委員長の初会談では実質的な進展はなかったとみられるが、両氏は相互に好意的な印象を受けたもよう。数人の側近のみを交えた会談は予定されていた50分の倍に延長された。 

プーチン大統領は金委員長について「非常にオープンで、思慮があり、興味深い」と評した。 

金氏は、朝鮮半島の問題は世界の関心事と述べるにとどめた。その後はメディアにはコメントはせず、会議場を後にした。 

米朝会談が暗礁に乗り上げる中、北朝鮮にとっては今回の会談は隣国ロシアとの関係改善に向けた好機となった一方、ロシアにとっても国際舞台で重要な役割を果たす格好の舞台となった。 

米国務省は今回の会談について今のところコメントしていないが、ウィリアム・ハガティ駐日米大使はワシントンのシンクタンクに対し、金委員長は北朝鮮に対する国際的な制裁の緩和を求める措置の一環として、ロシアと中国に接近しているとの見方を示した。 

同大使は「金委員長がプーチン大統領と会談したことは、制裁措置により北朝鮮の現体制に著しい経済的な圧力がかかっていることを示しており、制裁措置が機能していることが明確に示された」と指摘。「国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁を一丸となって順守することが極めて重要だと考えている」と述べた。 

プーチン氏が北朝鮮の最高指導者と会談を行うのは2002年に金正恩氏の父、故金正日総書記と会談して以来。故金正日総書記は11年に当時大統領を務めていたメドベージェフ首相とも会談している。