【ワシントン時事】訪米中の安倍晋三首相は26日午後(日本時間27日朝)、ワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。トランプ氏は今月開始した日米貿易協定交渉について、日本の農産物関税の撤廃を要求。5月中の合意に意欲を示した。交渉の加速では一致した。首相は6月下旬の大阪市での20カ国・地域(G20)首脳会議への協力を要請した。
トランプ氏は会談で、協定交渉に関し、5月25日から国賓として訪日することに触れ、「5月の訪日までに合意することも可能だ」と述べた。日本側は環太平洋連携協定(TPP)で認めた水準を限度とするとしているが、「日本の農産物関税が撤廃されることを望む」と語り、対日貿易赤字にも言及した。
これに対し首相は、日本企業の米国への投資が米国経済や雇用に貢献していることを説明。「ウィン・ウィンとなる交渉を進めていこう。必ずそういう結論を出すことができる」と述べた。米側が協定への導入を求めている「為替条項」に関するやりとりはなかった。
G20首脳会議について、首相は「成功に向けて大統領とも連携し、協力していきたい」と呼び掛け、合意形成に向け緊密に協力することを申し合わせた。一方、西村康稔官房副長官は会議への米国の出席者について「調整中だ」と語った。
北朝鮮の非核化に向けてはミサイルを含む完全で検証可能、不可逆的な廃棄が必要との方針を改めて確認した。25日のロ朝首脳会談についても意見交換。首相は2月の米朝首脳会談でトランプ氏が拉致問題を取り上げたことに謝意を伝えた。首相は会談後、日朝首脳会談実現に関して「大統領から全面的に協力すると力強い言葉があった」と記者団に語った。
会談で米側は、貿易摩擦をめぐる米中交渉の現状について説明した。
両首脳の直接会談は昨年11月のアルゼンチン・ブエノスアイレス以来。1対1で約45分間会談した後、麻生太郎副総理兼財務相が加わり少人数会合に移行。その後、貿易協定交渉を担う茂木敏充経済再生担当相も参加し拡大会合を行った。