[ニューヨーク 16日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、来週に迫った欧州議会選挙に対する懸念が重しとなりユーロが対ドルで約1週間ぶりの安値を付けた。 

欧州議会選を控え、欧州連合(EU)の財政規律を連日批判しているイタリアのサルビーニ副首相は16日、自身が党首を務める「同盟」が欧州議会選で順調に票を集めれば、イタリアの「首を絞めている」規則を「破り裂く」と発言。前日は、EUの財政規律は「欧州を飢餓状態に陥れている」とし、改正する必要があるとの考えを示していた。 

クレディ・アグリコルの外為ストラテジスト、マニュエル・オリビエリ氏は、「ユーロの下方リスクが高水準にとどまっている要因の1つにイタリアが挙げられる」としている。 

前日は、トランプ米大統領が自動車と自動車部品に対する追加関税導入を巡る決定を最大6カ月先送りする可能性があると伝わったことがユーロの支援要因となった。ただ正式に発表されるまで、市場は新たな貿易戦争が世界経済にどのような影響を及ぼすのか、神経質に見守っている。 

TD証券(トロント)の北米外為戦略部門責任者、マーク・マコーミック氏は「貿易戦争を多方面で同時に戦う余裕はあるのかという疑問がまず出ている」と指摘。その上で「世界経済の安定化に向けた『グリーン・シュート』が過去5カ月の間、見られていたが、新たな貿易戦争でこうした回復の初期の芽が摘まれるのではないか、米経済に見られている幾分かの減速で世界経済が再び不安定な状態に戻るのではないかとの懸念が出ている」と述べた。 

ドルは4月の米住宅着工件数が好調だったことなどが押し上げ要因となった。 人民元は一時1ドル=6.9299元と、昨年11月30日以来の水準に下落。豪ドルは1月3日以来の安値を更新。オーストラリア連邦統計局が16日に発表した4月の雇用統計で、失業率が5.2%と、8カ月ぶりの高水準となった。 

英ポンドは2月15日以来の水準に下落。与党・保守党の議員で構成する「1922委員会」のグラハム・ブレイディ委員長はこの日、メイ首相が6月上旬に退任時期を示すことを明らかにした。 

ドル/円 
NY終値 109.84/109.87 
始値 109.64 
高値 109.96 
安値 109.61 

ユーロ/ドル 
NY終値 1.1172/1.1176 
始値 1.1205 
高値 1.1210 
安値 1.1167