川崎市多摩区で28日に起きた無差別殺傷事件。犯行後に自らを刺して死んだ岩崎隆一容疑者(51)は、川崎市麻生区の住宅街の一軒家で高齢の伯父夫婦と3人暮らしだったという。近所とトラブルを起こすこともあったようだ。
「伸びた葉っぱが当たった」。隣家の40代女性は、約1年前、岩崎容疑者からこう怒鳴られたという。岩崎容疑者は午前6時ごろに女性宅のインターホンを何度も鳴らしたうえ、「庭の木の葉がフェンスから飛び出し、道を歩いていた自分に当たった」と言ってきた。対応した女性の夫との口論は約30分間にも及び、女性は「いつか何かされるかも」と恐怖を感じていたという。
岩崎容疑者は、小学校入学前後に伯父夫婦に引き取られてきたといい、近隣住民には「複雑な境遇で育った子」として知られていた。幼少期を知る男性は「まだあどけないのに、かわいそうだなと思っていた」と話す。ただ、「他人の家に勝手に入り込み、金魚鉢をのぞくような変わった子だった」とも明かす。
近隣住民によると、10代後半で家を出たが、近年、また家に戻っていたという。近くに住む主婦は、事件の数日前に1人で買い物から帰ってくる姿を目撃した。「すっかり白髪が増えて、猫背でうつむきながら歩いていた」と話す。別の男性は「まさかこんな事件を起こすとは…」と驚きを隠せない様子だった。