【ワシントン時事】トランプ米大統領は31日、ツイッターで、メキシコの不法移民対策が不十分だと批判し、国境管理を徹底するよう強く迫った。不法移民問題を理由にトランプ氏が前日表明したメキシコ産品に対する制裁関税措置をめぐり、メキシコ政府は「対話を通じた解決」を呼び掛けているが、トランプ氏はメキシコが有効な対策を講じなければ関税発動の方針を貫く姿勢だ。

 トランプ氏は30日、メキシコからの全輸入品に6月10日から5%の関税を適用し、最大25%まで徐々に引き上げると発表した。31日のツイッターに「関税は不法移民に加えて違法薬物の流入も防ぐ」と書き込み、国民に理解を求めた。ナバロ大統領補佐官も米テレビで「非常に迅速な対応」をメキシコに促した。

 メキシコのロペスオブラドール大統領は31日午前に会見し、「対話による解決」を改めて求め、関税発動の回避を探る考えを示した。ワシントンを急きょ訪れたエブラルド外相はツイッターに「米国のメキシコに対する扱いは不公平だ」と投稿。ロイター通信によると、両国政府は来週から協議を本格化させる。

 米国内では制裁関税に対する異論も根強い。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、メキシコとともに署名した北米自由貿易協定(NAFTA)新協定の手続きが難航すると懸念。議会で通商政策を担当する上院財政委員会のグラスリー委員長(共和)は声明で「大統領は関税の使い方を誤っている」と苦言を呈した。