[ニューヨーク 12日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、トランプ米大統領が米中通商合意について楽観的な見方を示したことを受け、ドルが上昇した。
米中貿易戦争で世界的な経済成長が阻害される懸念を背景に米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が高まる中、ドルはこのところ圧迫されていた。ただ、米国の政策金利はユーロ圏よりも高い水準にあるため、ドルはユーロに対し継続的に下落する事態にはなっていない。
CIBCキャピタル・マーケッツ(トロント)の北米外為戦略部門責任者、ビパン・ライ氏は「米国とユーロ圏との間にはまだ極めて大きな金利差が存在しているため、FRBの利下げ観測が高まる中でもドルはユーロに対して地合いを保っている」と述べた。
トランプ大統領はこの日、米中は通商問題で合意に至る「気がしている」と発言。ただ、合意が得られない場合は中国製品に対する関税を引き上げると改めて警告した。
トランプ氏はこのほか、ロシア産ガスをバルト海経由で欧州に輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」プロジェクトを巡る制裁措置を検討しているとし、ドイツに対しエネルギーでロシアに依存しないよう警告。これを受け、ユーロに売りが出た。
この日発表の米経済指標では、5月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)が前月比0.1%上昇と、小幅な伸びにとどまった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは4カ月連続で前月比0.1%上昇した。発表後の朝方の取引では、ドルがやや弱含む場面もあった。
今週は14日に発表される5月の小売統計が注目されている。FRBは来週18─19日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げには踏み切らないとの見方が大勢となっているが、近い将来の利下げについて手掛かりを示すかに市場は注目。金利先物が示す利下げの確率は6月が21%、7月が85%となっている。
英ポンドは下落。野党・労働党による合意なき離脱阻止に向けた動きが議会で阻まれたことが売り要因となった。
ドル/円
NY終値 108.49/108.52
始値 108.34
高値 108.54
安値 108.27
ユーロ/ドル
NY終値 1.1287/1.1292
始値 1.1318
高値 1.1340
安値 1.1283