[ワシントン 19日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は18─19日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25─2.50%に据え置くことを決定した。ただ不確実性の増大などに対応するために年内に最大0.5%ポイントの利下げが実施される可能性があることも示唆した。
FRBはFOMC声明で、「景気拡大を維持するために適切に行動する」と表明。これまでの声明にあった金利調整に当たり「忍耐強く」対処するとの文言は削除した。
セントルイス地区連銀のブラード総裁が利下げを主張、政策決定に反対した。
今回のFOMCでは17人の政策当局者のうち7人が年末までに政策金利を0.5%ポイント引き下げることが適切になるとの見解を表明。1人が0.25%ポイントの利下げが適切との見方を示した。長期のFF金利見通しは2.80%から2.50%に引き下げられた。
FF金利誘導目標は年内は2.25─2.50%にとどまるとの予想中央値が変化することはなかったが、FRB内の見解が大きくシフトしていることが示された。現時点では大半の政策当局者がそれぞれの金利見通しを0.5%ポイント引き下げたとみられる。年内に利上げが適切との見方を示したのは1人にとどまった。
こうした見通しの変化、およびFOMC声明の文言の変更を踏まえると、景気減速や貿易戦争激化に対応するためにFRBが近く利下げに踏み切る可能性があることが示された。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、年内は利下げはないとの見方を示した政策当局者でさえも「幾分緩和的な政策に対する論拠は増大した」との認識を示したと指摘した。
基調的な見通しは引き続き「良好」としつつ、貿易摩擦が国内企業投資の重しとなったり、海外経済の成長鈍化を示す兆候が出たりするなどリスクは高まり続けていると分析。「われわれは必要に応じて行動し、景気拡大を維持するために政策手段を利用する」と述べた。
2019年のインフレ率見通しは1.5%と、3月に示した見通しの1.8%から下方修正した。来年も目標の2%に届かないと見通した。
パウエル議長はこの日、低インフレは「一時的」という表現を使わず、メンバーらがインフレ率が2%に戻るペースに懸念を表明したと説明。賃金は伸びつつあるが、インフレを大きく押し上げるほどのペースでないとの認識も示した。
経済成長率と失業率の見通しはおおむね維持した。