[大阪 27日 ロイター] – 安倍晋三首相は27日、中国の習近平国家主席と大阪市で会談し、来春に国賓として習主席を招くことで一致した。日中関係が「正常な軌道に戻った」ことも併せて確認し、自由貿易の推進などで連携する考えを共有。習主席は会談で、拉致解決を含む日朝関係の改善を強く支持すると語った。
習主席の訪日は2013年の就任以来初めて。主席としては胡錦濤氏が10年に訪日して以来。
安倍首相は日中首脳会談の冒頭で「来年の桜の咲くころ、習氏を国賓として日本にお迎えしたい」と述べ、習主席は「再会できて嬉しい。新たな時代にふさわしい日中関係を築きたい」と応じた。「永遠の隣国」として首脳間などの相互往来を強化することで一致した。
会談では、自由貿易を推進することでも一致した。西村康稔官房副長官は会談後、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を柱に「自由貿易を尊重する観点から貿易の議論を行った」と記者団に述べた。激しさを増す米中貿易摩擦に関しては、安倍首相が「対話を通じた問題解決の重要性を指摘した」という。
北朝鮮情勢を巡って非核化に向けて連携するほか、先の中朝首脳会談で習主席が「日朝関係に関する日本の立場を北朝鮮に伝えた」とし、日朝関係の改善を支持する考えを示した。
米中関係にも議論が及んだが、米国が制裁対象としている中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)については言及しなかった。中国国外での人民元の決済業務が可能になる「人民元決済銀行」への指定行に関する議論も見送った。
竹本能文 編集:山口貴也