【ワシントン時事】米連邦最高裁は26日、国防総省の予算25億ドル(約2700億円)を公約のメキシコ国境の壁建設に転用するトランプ政権の計画を認める判決を下した。国家非常事態宣言に基づく予算転用が、議会の予算編成権の侵害に当たるかどうかが争われていた。政権には追い風となる。

 トランプ大統領は判決を受け、ツイッターで「国境の安全と法の支配にとって大勝利だ!」と表明した。

 判事9人の判断は5対4で、トランプ氏が指名した2人を含む保守派全員が賛成に回った。判決理由では、原告となった市民団体などに「訴える権利がない」という政権の主張を認めた。ただ、判決は予算転用の違憲性には踏み込んでおらず、壁予算をめぐる別の訴訟で異なる判決が出る可能性もある。

 トランプ政権は、公約の国境の壁予算を民主党が主導する下院に拒否され、35日間の政府閉鎖を余儀なくされた。その末の2月に非常事態を宣言し、国防総省予算を含む80億ドルを壁建設に振り向けた。

 連邦高裁は今月、「議会の同意なしに行政府は予算を使ってはならないという憲法の要求に反する」として、原告の訴えを認め、政権が上訴していた。