[ニューヨーク 8日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、中国人民銀行(中銀)による人民元の対ドル基準値設定を受けリスク選好が改善し、人民元が上昇した。またドル指数は小幅高で推移した。 

人民元の対ドル基準値CNY=PBOCは8日、世界的な金融危機以降初めて1ドル=7元を超える元安水準に設定されたものの、市場予想と比べて元高方向となり、元の下落抑制に向けた当局のシグナルと受け止められた。 

TD証券(ニューヨーク)のシニアFXストラテジスト、メイゼン・イッサ氏は「市場の反応はかなり良好とみられ、少なくとも直近では一定程度落ち着きを取り戻していると考えられる」と指摘した。 

7月の中国貿易統計で輸出が市場予想に反して増加し、3月以来の大幅な伸びとなったことも市場心理を押し上げた。 

オフショア人民元CNH= CNH=D3は0.13%高の1ドル=7.0727元。主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.08%高の97.626。 

トランプ大統領は8日、ドル高に対する不満を再表明し、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策が製造業に悪影響を及ぼしていると改めて批判した。発言を受けドルは一時値下がりした。 

米中の貿易摩擦が激化する中、世界各国で中銀による利下げの動きが相次いでいる。7日にはニュージーランド、インド、タイが、8日にはフィリピンが利下げを行った。 

前出のイッサ氏は「各国中銀がそろってハト派対応を強めれば強めるほど、市場は経済が予想以上に悪化していると考えパニックになりかねない」と述べた。 

ロイターは8日、政府高官の話として、ドイツ政府が気候変動関連政策に充てる資金を確保するために赤字国債の発行を検討しており、長らく堅持してきた財政均衡目標を断念し、政策を転換する可能性があると報じた。 

これを受けユーロは値上がりする場面も見られたものの、午後に入り下落。イタリアのサルビーニ副首相(同盟党首)が連立与党内の不一致の解消は困難で総選挙のやり直ししか道はないと発言したことが材料となった。ユーロ/ドルEUR=は足元1.1190ドルと横ばい。 

ドル/円 
NY終値 106.06/106.09 
始値 106.09 
高値 106.23 
安値 105.91 

ユーロ/ドル 
NY終値 1.1178/1.1182 
始値 1.1199 
高値 1.1231 
安値 1.1179