[ワシントン 20日 ロイター] – 米財務省は20日、イランの中央銀行などを対象とした新たな制裁を発表した。サウジアラビアの石油施設攻撃にイランが関与した可能性があることを踏まえた措置とみられる。
制裁対象は、イラン中銀のほか、イラン国家開発基金(NDFI)や企業1社。財務省はイラン軍の調達にこの企業が隠れ蓑として利用されていると指摘した。
トランプ大統領は今回の対応について「最高度の制裁」を科したと指摘。ムニューシン財務長官は「イランによるサウジへの恥知らずな攻撃は容認できない」と表明。中銀がイラン政府に残されていた最後の資金源だったと明らかにした上で「米国は引き続き(イランに対し)最大限の圧力をかけていく。今回の対応は非常に大規模なもので、イランに通じるすべての資金源を絶った」と語った。
先週14日に発生したサウジの石油施設に対する攻撃を巡って、米・サウジ当局はイランが関与したと主張。一方、イランは関与を否定している。
あるアナリストは、すでに発動されている制裁によってイランの石油収入が枯渇し、同国の金融機関が世界から遮断されていることを踏まえると、新たな制裁は「表面的な措置に過ぎない」と指摘する。
また、トランプ大統領はイランに対する武力攻撃の可能性について、米国はいつでも用意ができており、武力攻撃を行う可能性は常にあると明言した。同時に対立は高まっているが平和的な解決策を望むとも強調した。
共和党のグラム上院議員はツイッターへの投稿で「イランを罰し、同国への抑止を取り戻すため、国防総省がトランプ大統領に幅広い選択肢を提示することを」望むとの考えを示した。
サウジ攻撃が14日に発生する前、トランプ大統領は対イラン制裁緩和の可能性を示唆し、来週ニューヨークで開かれる国連総会でイランのロウハニ大統領との会談する可能性に前向きな姿勢を示していた。