[ワシントン 15日 ロイター] – ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は15日、米中の「第1段階」の通商合意により米国の対中輸出は今後2年間に2倍近くに拡大すると述べ、合意文書の翻訳や修正が必要なものの、合意は「完全に成立」したとの見解を示した。CBSの報道番組「フェース・ザ・ネーション」で語った。
米中高官が正式に合意文書に署名する日程は、まだ未定という。
米中両政府は13日、「第1段階」の通商合意に至った。米国は対中関税の一部を引き下げ、中国は今後2年間に米農産物、工業製品、エネルギー製品の購入を約2000億ドル拡大する。
中国は米知的財産権の保護強化や、中国企業への技術移転の強要抑制、金融サービス市場の開放、為替操作の回避なども約束した。
ライトハイザー氏は、中国による米農産物購入は今後2年間に年400億─500億ドルに拡大する見通しだと述べた。両国の関税合戦は2018年7月に始まっており、それ以前で直近の中国による米農産物購入の通年実績は、2017年に約240億ドルだった。
<関税引き下げ提案>
米国は、15日に予定していた1600億ドル相当の中国製品に対する関税発動を見送る。同時に1200億ドル相当の製品に対する関税を従来の15%から7.5%に引き下げる。
USTRと米財務省は、米交渉担当官が3600億ドル相当の製品全ての関税を半分に引き下げる提案を行ったとの報道について「完全に誤っている」と指摘。共同声明で「米国がそのような提案を中国に示したことはない」とした。
今回の通商合意では2500億ドル相当の中国製品への25%の関税が維持され、13日の米株市場の上値は抑制された。
ライトハイザー氏は、通商合意の成功は中国当局者の決定に左右されると発言。「最終的にこの合意が完全に機能するかどうかは米国ではなく、中国で誰が決定を下すかにかかっている。強硬派が決定を下すのと、われわれが望む改革派による決定では別の結果がもたらされる」と語った。
また、合意は米中間の問題全てを解決するものではないとし、政府系企業が独占する中国の経済システムと民間セクターが主導する米国のシステムの融合には、何年もかかるとの見解を示した。