[ワシントン 18日 ロイター] – 米下院は18日の本会議でトランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。大統領が弾劾訴追されたのは米史上3人目。社会の分断が深まる同国で、二大政党間の対立が一段と激化する見通し。 

トランプ氏(73)が政敵のバイデン前副大統領に関する調査を行うよう外交を悪用してウクライナに圧力をかけた「権力乱用」の弾劾条項は賛成230、反対197で可決。議会調査への協力要請を拒否するよう政権幹部らに指示した「議会妨害」の条項は賛成229、反対198で可決された。 

正式な弾劾訴追を受け、トランプ氏の身内の共和党が多数派を占める上院では来月、弾劾裁判が行われる運びとなった。下院の採決が進行中、来年の大統領選で再選を目指すトランプ氏はミシガン州で遊説を行った。

米国の243年の歴史で弾劾裁判で罷免された大統領はいない。罷免には定数100人の上院で3分の2以上の賛成が必要で、共和党議員の20人以上が造反する必要があるが、造反を示唆している議員はいない。 

ホワイトハウスは弾劾決議案の可決を受け、上院で大統領の潔白が証明されると確信していると表明。

グリシャム報道官は「米史上で最も恥ずべき政治的出来事の1つがきょう下院でその極みに達した。共和党議員の賛成票は1票も得ることなく、不正の証拠を1つも示すことなく、民主党は違法な大統領弾劾条項を下院で可決させた」と批判する声明をした。 

下院本会議で審議が進行する中、トランプ大統領は、弾劾手続きは「米国に対する攻撃だ」とツイッターに投稿した。 

過去に弾劾訴追を受けた大統領は、1868年に訴追されたアンドリュー・ジョンソン、1998年のビル・クリントン氏の2人のみで、弾劾裁判ではいずれも無罪判決を受けた。ウォーターゲート事件で知られるニクソン大統領は弾劾訴追前に辞任しており、裁判は行われなかった。