[ニューヨーク 23日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ドルが対ユーロで上昇。欧州中央銀行(ECB)が同日の定例理事会で主要政策金利を据え置くとともに、物価目標を含む政策戦略の検証を開始したと明らかにしたことを受けた動き。
ラガルド総裁は理事会後の会見で、インフレ目標の検証を巡り「くまなく精査していく。物価の計測方法に関しては検討が必要だ」と語った。
シリコンバレー銀のシニア為替トレーダー、ミン・トラング氏は「ラガルド総裁の発言は、インフレ押し上げに向けて過去10年駆使されてきた政策ツールの効果がないかどうかを検証することを意味している」と述べた。
アクション・エコノミクスの欧州経済ディレクター、ナターシャ・ゲワルティグ氏は「ECBによる政策とガイダンス維持は、リスクがなお下方に傾く中、引き続きマイナス金利環境が正当化され、ECBが必要に応じあらゆる措置を調整する用意があることを明示した」と述べた。
終盤の取引で、ユーロ/ドルEUR=は0.32%安の1.1055ドル。一時、昨年12月2日以来の安値となる1.1037ドルを付ける場面もあった。
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大への懸念から、安全資産とされる円は上昇。一方、人民元は下落した。 ドル/円JPY=は0.32%安の109.48円。
ドル/オフショア人民元CNH=は0.28%高の6.9277元。しかし人民元の下げは比較的限定的で、市場参加者が新型肺炎を巡りパニックを起こしていない様子を示唆した。
中国河北省の保健当局によると、新型肺炎で80歳の患者が22日に死亡。新型コロナウイルスが検出された湖北省以外では初の死者となる。中国国内での死者数はこれで18人目。
世界保健機関(WHO)はこの日開いた緊急委員会で「国際的な公衆衛生上の緊急事態と判断するには時期尚早」との判断を下しつつも、情勢を緊密に注視しているとした。