[ワシントン 16日 ロイター] – 米民主党の大統領選候補指名獲得を目指す候補者らは16日、これまで討論会への参加資格がなかったブルームバーグ前ニューヨーク市長が19日の討論会に初参戦する公算が大きくなり、直接対決への意欲を示した。
ブルームバーグ氏は出馬表明が遅かったが、他の候補をはるかにしのぐ資金を広告に投じてきた。19日の討論会前に、あと1件の世論調査で支持率が10%を上回れば、参加資格を得る。
候補者の1人、クロブシャー上院議員は米NBCの番組で「放送波(を通じた広告)でブルームバーグ氏を打ち負かすことはできないが、討論会では勝てる」と自信を示した。
バイデン前副大統領はNBCで、ブルームバーグ氏のニューヨーク市長時代の政策について議論を仕掛ける考えを表明。特に治安対策「ストップ・アンド・フリスク」(通行人の所持品検査)について追及するとした。
同対策は黒人やヒスパニック(中南米系)ばかりが検査の対象になったと批判を受けており、ブルームバーグ氏自身も出馬表明前の昨年11月に謝罪している。
バイデン氏は「600億ドルの資金で多くの広告を賄えるが、過去の記録を消すことはできない」と強調した。
ブルームバーグ氏を巡っては、女性に対する不適切な発言や同氏が創業した金融情報会社・ブルームバーグについて、女性社員が働きにくい環境を作ったとの声が出ている。同氏の陣営は、いずれも否定している。
ブルームバーグ氏は1月15日の米ABCの番組でのインタビューで、ブルームバーグ社では規模の大きさに比べてセクハラの事例は「ほとんどない」と述べている。
2月15日付の米紙ワシントン・ポストは、1990年のパーティーで配布された冊子にブルームバーグ氏の女性差別的な発言が記載されているとして、その内容を報じた。ロイターはこの冊子を確認できていない。
同紙はまた、過去30年間にブルームバーグ社を相手取り提起された差別に関する多数の訴訟を時系列に沿って報じた。
ブルームバーグ陣営の広報担当、ジュリー・ウッド氏は16日、ワシントン・ポストが伝えた内容は過去20年間報じられてきたとし、「大きな組織では苦情は必ず出る。ブルームバーグ氏はいかなる差別も嫌がらせも容認しておらず、平等性と包摂性が全面的に確保された企業文化を創造してきた」とコメントした。