[23日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は23日、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、新型コロナウイルスへの対応として、無制限の量的緩和(QE)を行う方針を決定した。米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を必要なだけ買い取る。決定は全会一致。
FRBは15日に1%の緊急利下げを行い事実上のゼロ金利を導入したほか、7000億ドル規模の債券買い取りを復活したばかり。経済の「深刻な混乱」に対処するため、QEの規模を特定せず、無制限の買い取りが必要と判断した。
声明では「新型コロナによる衛生危機に伴い、経済が深刻な混乱に直面することが明白になってきた」とした上で、「市場の円滑な機能への支援や経済・金融情勢全般に対する金融政策の効果的な波及を促す」と表明した。
アメリプライズ・ファイナンシャル・サービシズの主任エコノミスト、ラッセル・プライス氏は、FRBが「バズーカ」を発動したとした上で「短期的に企業が必要とする流動性を供給し、金融システムが適切に機能することを確実にする上で非常に重要な措置」と評価。ウエルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏も「FRBは企業や家計への下支えに向けなりふり構わずやっており、緩和規模は相当なものだ」と指摘した。
一方、レイモンド・ジェームズの主任エコノミスト、スコット・ブラウン氏はFRBの対応が支援材料であることは間違いないが、財政刺激策がなお必要だと強調した。米上院議会は22日、1兆ドル超の新型コロナ対策法案の採決に向けた動議を否決。民主党の反対で、可決に必要な60票(議席数100)の支持が得られず、手続き上のハードルをクリアできなかった。
FRBが今週に連日買い取る国債は750億ドル、MBSは500億になる見込み。この他、学生ローンや動自車ローン、クレジットカードローンを担保とした資産担保証券(ABS)なども買い取る。