- 21日期日のWTI5月限は一時40%安、翌月限との価格差は過去最大
- 生産者はバイヤーにマイナス価格で支払う可能性、市場関係者が指摘
20日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)で原油先物価格が過去最大の下落を記録し、1バレル=11ドルを割り込んだ。歴史的な需要減少で、貯蔵施設の能力は限界に近づいている。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は一時40%下落。この価格は21日に期日を迎える期近の5月限だが、急速に膨らむ原油のだぶつきを反映している。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は5月から史上最大規模の減産を実施するが、巨大な需要の消失に色あせている。
原油貯蔵スペースがないため現物の受け渡しを避けようと、トレーダーらは21日の期日を前に5月限から6月限へと乗り換える動きを進めている。これが当月限と翌月限の間で10ドル余りという前例にない価格差を生んだ。
原油相場の弱さの兆しは至る所で見られる。米テキサス州のバイヤーは、一部の原油についてバレルわずか2ドルの価格を提示しており、生産者が手持ちの原油を処分するため買い手に支払わなければならないようになる可能性が高まっている。中国は17日に1-3月の国内総生産(GDP)が数十年ぶりに縮小したと発表したが、これは新型コロナウイルスのロックダウンがまだ続く他の主要国経済が今後どうなるかを示す。
コモディティー・ヘッジファンドマネジャーのピエール・アンドゥランド氏は「貯蔵施設とパイプラインが満杯となれば、価格下落に歯止めはかからなくなる。マイナスの価格もあり得る」とツイートした。
WTI5月限は一時40%安の10.96ドルと、1983年の先物取引開始以降で最大の下げ。ニューヨーク時間午前9時13分時点で6月限は13%安の21.80ドル。北海ブレント原油6月限は7.1%安の26.08ドルとなっている。
原題:Oil Plunges by Record to Below $11 With Storage Rapidly Filling(抜粋)
Oil Plunges Below $12 as Storage Rapidly Fills Amid Demand Slump