[シカゴ 22日 ロイター] – 米国は、新型コロナウイルスワクチンの年内の実用化に向け、有望なワクチン候補を6株程度に絞るとともに、10万人超の被験者を対象に大規模な治験を行う計画だ。
複数の専門家によると、主要ワクチンメーカーはデータ共有に加え、自社開発が失敗した場合、治験ネットワークの利用を他社に認めることなどで合意した。
初期の治験で安全性が確認されたワクチン候補を用い、7月には1株につき2ー3万人の被験者を対象に大規模治験が開始される予定。フレッド・ハッチンソンがん研究所のラリー・コーリー医師は、被験者登録数が10ー15万人に上る可能性もあると明らかにした。
国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長は「問題がなければ治験を継続する」とした上で、非常に有効なワクチンであれば6カ月程度、またあまり有効でないワクチンは9—12カ月程度の治験を要する可能性があると述べた。
大規模治験の使用ワクチンとしては、バイオ医薬大手の米モデルナ(MRNA.O)とNIHが共同開発するワクチンがまず候補に挙げられるほか、英オックスフォード大と英アストラゼネカ(AZN.L)のワクチンも候補になり得るという。
米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ.N)、仏サノフィ(SASY.PA)、米メルク(MRK.N)のワクチン開発は先行候補から1ー2カ月出遅れているが、「初期治験を経た上で夏場にも大規模治験に加わる可能性がある」とした。
国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は22日、12月までに米国内でコロナワクチンの接種を開始する可能性に自信を表明。「想定外の妨げに直面しない限り、米国内で今年12月もしくは来年1月にワクチン接種を展開することは想定可能だ」と語った。