[シカゴ/北京/シンガポール 1日 ロイター] – トランプ米大統領が香港に対する優遇措置を撤廃する方針を示したことを受け、中国政府が国有企業に対し米国から大豆と豚肉の輸入を停止するよう指示したことが、複数の中国側の関係筋の話で明らかになった。 

一方、米国の貿易関係者らによると、中国の国営企業は1日、大豆類を最低18万トン購入した。出荷は10月か11月の予定で、この時期は米国産大豆が世界中で最も値ごろとなり、米国からの輸出がピークを迎えるという。 

ある米国のトレーダーは、中国の輸入業者が10ー11月に必要な大豆の大部分をまだ調達していないとした上で「中国が大豆を必要としていることは確かだ」と述べた。 

中国全国人民代表大会(全人代)が5月28日に「香港国家安全法」の制定方針を圧倒的賛成多数で採択したことを受け、トランプ大統領は29日、香港に対する優遇措置を撤廃するよう政権に指示したと明らかにした。 

こうした中、複数の関係筋は匿名を条件に、米国産のトウモロコシと綿の大規模な輸入がすでに保留されていることを明らかにし、トランプ政権が追加措置を導入すれば、中国政府は他の米農産品にも対応を拡大させる可能性があると指摘。「中国政府は、香港を巡る米政府の方針に対応し、大豆や豚肉などを含む米国産の主要農産品の大規模な輸入を停止するよう主要国有企業に要請した」と述べた。 

その上で、トランプ政権が中国に対し強硬路線を取り続ければ、最悪の場合、第1段階の米中通商合意が破棄される恐れがあるとし、「トランプ大統領が絶え間なく中国を攻撃している時に、中国政府が米国から物品を輸入できるわけはない」と指摘。米中間の緊張の高まりを反映し「貿易はある程度、停止される」との見方を示した。