住民投票の大勢判明を受けて記者会見する台湾南部高雄の韓国瑜市長(中央)=6日、高雄市(高雄市提供)
住民投票の大勢判明を受けて記者会見する台湾南部高雄の韓国瑜市長(中央)=6日、高雄市(高雄市提供)

 【高雄時事】台湾南部の主要都市・高雄の韓国瑜市長(62)に対するリコール(解職請求)の賛否を問う住民投票が6日、実施され、リコールが成立した。韓氏は台湾で初めて、リコールにより市長職を罷免される。韓氏が所属する最大野党・国民党にとっては、今年1月の総統・立法院(国会)選の敗北に次ぐ打撃で、弱体化が加速する可能性がある。

台湾・高雄市長罷免へ6日住民投票 初のリコール成立なるか

 高雄市選管当局の最終集計によると、賛成票は93万9090票、反対票は2万5051票で、賛成票がリコールの成立要件だった有権者総数(約230万人)の4分の1(約57万5000票)を大幅に上回った。公選法の規定により、韓氏は7日以内に解職される見通し。投票率は約42%。

 韓氏は大勢判明を受けて記者会見し、自身の支持者に感謝の意を表した上で、「130万人以上の有権者が棄権する中での不公平な投票だ」と持論を展開した。

 2018年11月の統一地方選で高雄市長に初当選した韓氏は、「韓流」ブームを巻き起こし、一躍時の人となった。その余勢を駆って総統選に出馬したものの、親中国路線が裏目に出て、対中強硬姿勢を鮮明にした民進党の蔡英文総統に大敗を喫した。

 リコール運動を展開してきた市民団体側は、韓氏が市長選の際に「総統選には出ない」と公言して当選したのに、「約束を破って出馬した」と批判。総統選期間中に3カ月休職するなど「市政を軽視している」として、罷免を訴えてきた。韓氏のリコール問題は、台湾全土から注目された。

 韓氏の解職から3カ月以内に市長選が実施される。高雄を地盤とする民進党が有利な戦いを展開すると見込まれる。規定により、韓氏は4年間、高雄市長選に出られない。