ドイツの野党・緑の党のベーアボック(左)とハーベック両共同党首=2019年11月、北部ビーレフェルト(AFP時事)
ドイツの野党・緑の党のベーアボック(左)とハーベック両共同党首=2019年11月、北部ビーレフェルト(AFP時事)

 【ベルリン時事】ドイツで、基本法(憲法)の差別を禁じる条文中にある「人種」という表現を削除するか、他の文言に置き換えるべきだとの議論が与野党で広がっている。米国の黒人男性暴行死で差別への関心が高まる中、人種という概念自体が差別を助長するとの問題意識が背景にある。

欧州でも抗議デモ 数千人参加、差別に怒り―米黒人拘束死

 問題の条文は3条3項で、性別や信仰などと共に、人種に基づく差別禁止をうたっている。削除を提案したのは野党・緑の党。ハーベック共同党首ら幹部2人は9日の独紙ターゲス・ツァイトゥング(電子版)への寄稿で、人種の概念は人をカテゴリー分けするもので、憲法の精神にそぐわないと主張。「人種はない。あるのは人間だけだ」と訴えた。

 憲法改正には両院で3分の2以上の同意が必要だが、与党のキリスト教民主・社会同盟や社民党の一部からも、肯定的反応がある。