12日、ブラジルの最大都市サンパウロの目抜き通りで、ショッピングセンターの入り口で列をつくる市民
12日、ブラジルの最大都市サンパウロの目抜き通りで、ショッピングセンターの入り口で列をつくる市民

 【サンパウロ時事】ブラジル保健省は12日、新型コロナウイルス感染症による死者が前日から909人増え、4万1828人になったと発表した。英国(4万1566人)を超え、米国(11万4643人)に次ぎ世界で2番目に多い。昨年の国内での殺人被害者数4万3194人に迫っている。

<新型コロナウイルス 世界各国の状況>

 ◇経済再開
 ブラジルの感染拡大は収まる気配がない。感染者数でも既に米国(204万6646人)の次に多く、前日から2万5982人増えて82万8810人となった。

12日、人通りが戻り始めたサンパウロの目抜き通りで、市から委託を受けて通行人に無料でマスクを配り、着用を呼び掛けるブラジルの大道芸人
12日、人通りが戻り始めたサンパウロの目抜き通りで、市から委託を受けて通行人に無料でマスクを配り、着用を呼び掛けるブラジルの大道芸人

 しかし、経済状況の悪化に耐えられなくなり、これまで商業施設閉鎖など感染対策を取っていた州や市が次々と経済再開に動いている。

 雇用重視の立場からこれまで再開を求めてきたボルソナロ大統領は11日の演説で「サンパウロ州はこれまで事実上のロックダウン(都市閉鎖)を行ってきたが、閉鎖規模がずっと小さい(隣の)ミナスジェライス州に比べて人口100万人当たりの死者は断然多い」と強調。ロックダウンを否定してきた自身の主張が正しかったと自賛した。

 また「間違っているかもしれないが、われわれの情報では人工呼吸器や病床の不足のせいで死んだ人はほぼいない」と述べて医療崩壊を否定。支持者らに対し「近くの病院に何とか入り込む方法を見つけ、撮影してみてはどうか」と呼び掛けた。医療妨害をけしかけるような発言に、一部の政府保健機関や州知事から、大統領を非難する声が上がっている。

 最も感染が深刻な最大都市サンパウロの目抜き通りでは12日、パンデミック(世界的流行)前の5割程度の人通りが戻った。11日から制限付きで再開されたショッピングセンターの前には開店を待つ人々が列を成していた。