【北京時事】香港への統制を強化する「香港国家安全維持法案」を審議している中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は20日、国営新華社通信を通じて同法案の概要を明らかにした。中国政府は香港に治安機関「国家安全維持公署」を設立して監督・指導するとともに、「特定の状態」では国の関連部門と共に直接管轄権を行使すると明記した。香港の法律と一致しない場合、「国家安全維持法の規定を適用する」ことも付則に盛り込み、香港の「一国二制度」が骨抜きになる懸念が一層強まった。
概要は、18日の会議での提案理由説明として公表された。同法案は6章66条で構成。香港政府には行政長官をトップとする「国家安全維持委員会」や警察の担当部門を設立するよう求め、「特定の状態」以外では香港政府が法執行を担うと指摘。香港が享受する言論・出版、集会の自由などを尊重すべきだとも言及した。
しかし、「中央政府は国家安全の根本的責任を有する」ことを強調。香港に新設する国家安全維持公署は「関連する権力を行使し、犯罪案件を処理する」と明記した。国が管轄権を行使する「特定の状態」は「極めて少数の案件」とするだけで明示を避けた。