【ロサンゼルス時事】米国で、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に首を圧迫されて死亡した事件に対する抗議デモに便乗して、騒乱や内戦を画策する過激主義運動「ブーガルー」の台頭が指摘されている。新型コロナウイルス対策で外出規制を発動した公権力への不満を背景に、オンラインで勢力を拡大。賛同者が殺傷事件も起こしており、治安当局は警戒を強めている。
ニュースが取り上げない米デモの真実~立ち上がるアメリカの若者~
IT監視団体が4月下旬に公表した調査によると、フェイスブックでブーガルーに関連する集団が125グループ確認され、延べ約7万3000人のメンバーがいた。グループの6割超は過去3カ月間で形成され、メンバーの半数は直近の1カ月で参加したという。当初は経済再開を訴えるデモに姿を見せていたが、人種差別への抗議デモ拡大に伴い活動を活発化させている。
カリフォルニア州オークランドでは5月29日、抗議デモ現場近くで連邦政府の警備職員2人が殺傷される事件が発生。同州北部の連邦地検は、銃撃犯として空軍下士官の男(32)を訴追した。男は身柄拘束の前に保安官を射殺し、車を奪って逃走。乗り捨てた車のボンネットに自らの血を塗り付けてブーガルーの隠語を書き残していた。
犯行前には仲間とのフェイスブック上のやりとりで、法執行機関の職員を狙う場としてデモが「絶好の機会だ」と投稿。「やつらの怒りを使って自分たちの火を燃やせ」などと扇動していた。
ネバダ州の連邦地検もブーガルーに傾倒していた男3人を訴追。ラスベガスの抗議デモに火炎瓶を持ち込んで暴力を誘発しようとしていたという。地検は声明で「フロイド氏の死に対する正当な怒りを悪用し、自らの過激な主張のために平和的な抗議デモを乗っ取った」と非難した。