[ワシントン 31日 ロイター] – 米政府は31日、中国新疆ウイグル自治区でウイグル族への弾圧や人権侵害に関与した疑いがあるとして、同自治区で開墾などに従事している準軍事組織、新疆生産建設兵団(XPCC)に対する制裁措置を導入した。
財務省の声明によると、XPCCの幹部のSun Jinlong氏とPeng Jiarui氏も制裁対象に指定。米国内の資産が凍結されるほか、米国人がXPCCと取引を行うことが禁止される。また、幹部2人の米国への渡航も禁止される。
ポンペオ国務長官は声明で「中国共産党による新疆自治区におけるウイグル族やその他のイスラム教少数派に対する人権侵害は、21世紀の汚点だ」と非難した。
米政府高官は匿名を条件に、XPCCは「秘密の準軍事組織で、中国共産党の直接支配の下でさまざまな機能を担っている」とし、「中国共産党による監視、抑留、教化に直接関与しており、新疆自治区におけるウイグル族やその他のイスラム教少数派がその対象となっていることは周知の事実だ」と述べた。
米政府は9日、新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与したとして、同自治区トップの陳全国・共産党委員会書記ら当局者4人に制裁を科すと発表している。
新アメリカ安全保障センター(CNAS)のピーター・ハレル氏は、XPCCに対する制裁措置で中国に対する圧力が「格段に高まる」と指摘。「これまでの措置は象徴的なものにすぎなかったが、トランプ政権はようやく意義のある制裁措置を打ち出した」と述べた。
XPCCは1954年設立。当初は復員軍人を中心に構成されていたが、その後は一般市民も参加し、現在はこの地域の人口の約12%に相当する311万人が参加。この大半が漢民族となっている。